ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

もうひとつの辞書

2022-02-25 11:24:53 | Weblog

才能は偏り

バランスの取れた者に才能は寄り付かない

傾きが大きければ大きいほど、高い才能が与えられる。

 

努力は逃れる行為

地震に備えるヘルメット

不安や緊張、人の目、落胆、貧困、不幸などから逃れるため

 

人生は喜怒哀楽の積もり

また、流した血や汗や涙の総量

意味があるのかないのかは不明

 

冬は今の住人

春は冬のアパートをノックする次の住人

冬は無視しているが、ノックの音は次第に大きくなり

やがて力ずくで放り出される

 

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求道者になりたい

2022-02-21 11:37:14 | Weblog

求道者になりたい

そこらの路地で鳴く花や、咲く虫のような

 

求道者になりたい

強い風に吹かれたビニール傘のような

 

求道者になりたい

人の真似して、田んぼを守る案山子のような

 

求道者になりたい

世界で何があっても、フォームを崩すことなく、同じ歩幅を維持する時計のような

 

求道者になりたい

この騒がしい心とそろそろ別れたい

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髙木美帆の旅路

2022-02-18 12:21:11 | Weblog

1000メートルのレースを終えた髙木美帆は、最終組の滑りを見つめていた。

オリンピックレコードを記録し、暫定1位

待つ身の高木は、その結果がどうであれ、自らの滑りに満足しているようだった。

そして数分後に金メダルの知らせ

彼女は喜びを素直に表した

 

団体パシュート決勝で、金メダル目前の最終周に、姉の菜那が転倒。

落胆する姉の隣に腰を下ろし、言葉をかけるでもなく、ただ寄り添った。

 

初出場のバンクーバーはヒップホップ好きのあどけない中学生だった。

あれから12年

彼女が成長したのは、決してスピードスケートの技術だけではなかった。

 

長い旅路の果てにたどり着いた北京の金色に照らされた笑顔は、美しかった。

 

 

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藤井、最年少5冠

2022-02-13 14:19:53 | Weblog

圧巻としか言いようがないです。王将戦は藤井聡太竜王が渡辺明王将を4連勝のストレートで下し、王将位を奪取しました。

これで藤井竜王は王位、棋聖、叡王に王将を加え、ついに5冠王となりました。

 

第4局を少し振り返ると、渡辺さんが矢倉に組み、藤井君は急戦を匂わせながらの雁木という形に組みました。1日目の形勢は、持ち時間を多く残したことも含め、渡辺さんがややいいのではないかと思われましたが、渡辺さんに決め手を与えず、さらに駒が次第に後退し、終わってみれば藤井竜王の快勝に近かったと思われます。

 

今日のスポーツ紙の1面は、コンビニで見た限りはすべて藤井君でした。サンスポを買ったのですが、スキーのラージヒルで銀メダルを取った小林陵侑選手が裏1面でした。確かに5冠王は史上4人目の快挙ですが、これまでの感覚ではオリンピックの期間中に将棋棋士が1面を飾ることなどあり得ませんでした。スポーツ雑誌のNumberの表紙にしても。

藤井君だけが何故ここまで将棋の枠を飛び越えたスターになれたのか?勿論、史上最年少棋士、デビューから29連勝、数々の最年少記録など驚異的な実力は言うまでもないのですが、それだけでは人は惹き付けられない。

14才の彼は逆転した対局で「僥倖」という言葉を使いました。19才の彼は今回の出来すぎの結果に対し、「幸運」と言いました。そこに藤井君の人としての成長を見たと同時にクレバーな青年だなと感じました。

将棋での圧倒的な強さと、盤外での頭の良さ。謙虚さ。穏やかさ。このギャップが藤井人気の秘密のひとつではないでしょうか。

 

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みすぼらしい体

2022-02-07 10:41:30 | Weblog

朝の光は闇の毛布を容赦なく消し去り

街はみすぼらしい体をさらけ出す

 

ストイシズムに時は流れ

いつつの輪っかは東京の灼熱から北京の白銀へ

新型はデルタからオミクロンへ

あの人の白髪は増え

あの人は死んでいった

アイツは元気だろうか?

あなたは幸せだろうか?

 

みすぼらしい体には目もくれず

人々は通りすぎていく

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慈悲深き医師の死

2022-02-01 11:10:01 | Weblog

昨年の秋

自らの診療を終えた後、コロナ患者の自宅を回り、診療する医師をテレビが取りあげていた。

それは深夜にまで及び

「どうしてそこまでやるのか」と問われれば

「医師としてではなく、人間として、ひとりの人間としてとにかく助けたいんです。理屈じゃないんです」と語った顔には大量の汗と共に、涙が浮かんでいた。

 

それから数ヶ月が過ぎ、彼は死んだ。

散弾銃に撃たれ、即死だった。

容疑者は訪問介護の患者の息子

常人なら危険を察知し、この家族を見捨てていただろう。

しかし、彼は違った

自分の命より他人の命が大切なのだ

 

世の中が不条理であることは知っている

善人ほど早死にすることも

それでも、彼には例外になって欲しかった

 

埼玉のふじみ野に

人を救うために命を焼き付けした医師が存たことを

忘れやすい自らのために

いまここに刻む

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