ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

若い娘との会話

2013-01-23 17:33:26 | Weblog
「お兄さんもやっぱりAKBが好きなの?」

「いや、そうでもない。女優の方が好きかな」

「綾瀬はるかとか」

「うん。そうだね。あと、北川景子」



二十歳そこそこの娘の問いに僕は正直に答えた。

ただ意図的に一人の女優を忘れたのだ

その言葉を忘れた。意図的に

菅野美穂の名を



彼女も間違えている

間違えるのは無理もないけど

僕はもうお兄さんじゃない



「へ~。菅野美穂。ずいぶん年上が好みなんだね」

そんな言葉が返ってくるのを恐れていたのかもしれない



僕に普通のところなどないのかもしれない

外見も内面もすべて

それなのに「普通は美徳」の世間の価値観の中で僕は必死にそれを演じてきた

僕には難解すぎる普通という名の役柄



「もっと普通っぽく恰幅をよくしてだな、路上に唾でも吐いて、小娘には説教のひとつでもしろよ!」

監督の怒鳴り声が耳にこびりつく



「俺には出来ないよ。俺には出来ない。普通の人の演技なんて」

心で呟きながら、これからも僕は普通を追いかけ、探し続けるのだろう

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余生の雪

2013-01-19 21:39:54 | Weblog
成人の日の主役となった雪が片隅で余生を過ごしている



今日、大鵬が死んだよ

宇多田ヒカルが30になったよ

混乱のハトが中国へ飛んだよ



あの大震災から18年たったよ

湾岸戦争からは22年だ

エバタ、スカッド、パトリオット



時は矢継ぎ早に流れているというのに

そんなことはお構いなしに

余生の雪は寒さに甘え、のんびりと眠っている

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一歩

2013-01-16 20:48:19 | Weblog
天使の羽のような雪がコンクリートに舞い降りた
翌朝、朝日に照らされた真白な世界は
いまの僕にはもう眩しすぎたんだ

人々の歩幅は小さく
それはあたかも初めて歩き出した赤子のようだ
生まれて1年で経験する小さな一歩
とてつもない感動が小さな心を駆け巡る

それは大人への一歩
それは社会の歯車への一歩
それは大臣への一歩
それは女優への一歩
それは喜びへの一歩
それは悲しみへの一歩

どんな一歩であろうが
必死に踏み出したその一歩目は
周りの人間たちを無条件幸福にしたのだ



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アベノミクスから遠い街

2013-01-13 20:10:44 | Weblog
アベノミクスから遠い街
午前10時、僕はいつものようにシャッターを持ち上げる
眩しい光が降り注ぐ

真冬のわずかな隙間を潜り抜け
小さな春が来てくれたようだ

店を開け、しばらくして自転車の老人が安いタバコを買いにきた
お客の来ないこんな日はエコー2箱がいつにもましてありがたい

ラジオから番組に不似合いな木綿のハンカチーフが流れ
その後のニュースは教師の体罰を伝えていた

一瞬だけ、学生時代の光景が脳裏をよぎる
少しだけ覗いて、僕は記憶のページを閉じた
未来に希望を持ってる顔した僕を見つけたから

学生時代の僕には今の僕の姿や辺りの景色は決して移らないだろう
そして未来の素晴らしき風景をいつまでも楽しそうに眺めているのだ



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