感想戦の麻衣さんは、穏やかだった。私も平静を装っていたつもりだが、自分の声が震えているのに気付いた。観戦記者やカメラマンがなだれ込んできた。私は麻衣さんを破り、女流名王を獲得したことについて聞かれると「まだ実感が湧きません。山崎さんに勝ったことも、女流名王を獲得したことも」というような受け応えが精一杯だった。
私に向けられていた目線やマイクの矛先が麻衣さんに移る。「残念な結果になりましたが」「敗因は?」「北園さんについて一言」と矢継ぎ早に質問が飛んだ。麻衣さんはやはり穏やかだった。「力は出し切れましたので悔いはないです」「力負けです」「ここ1,2年で急激に強くなった印象があります」とひとつひとつ丁寧に答えていた。私に対する感想を述べている時、麻衣さんがこちらに目線を向けた。少し笑ったように見えた。
先生には電話で報告した。彼は興奮していて、何を言っても仕方のない状態だったので「後で伺います」とだけ伝え、電話を切った。
私に向けられていた目線やマイクの矛先が麻衣さんに移る。「残念な結果になりましたが」「敗因は?」「北園さんについて一言」と矢継ぎ早に質問が飛んだ。麻衣さんはやはり穏やかだった。「力は出し切れましたので悔いはないです」「力負けです」「ここ1,2年で急激に強くなった印象があります」とひとつひとつ丁寧に答えていた。私に対する感想を述べている時、麻衣さんがこちらに目線を向けた。少し笑ったように見えた。
先生には電話で報告した。彼は興奮していて、何を言っても仕方のない状態だったので「後で伺います」とだけ伝え、電話を切った。