「クライスレリアーナ ピアノのための幻想曲集」(作品16、1838(1850改訂))は、ショパンに献呈されたシューマン28歳の時の作品。CDは写真のとおりアルトゥール・ルービンシュタインの演奏による1964年(クライスレリアーナ)と1965年(幻想曲)の録音。
Wikipediaには次のように記載されている。
★題名のクライスレリアーナとは、作家でありすぐれた画家でもあり、また音楽家でもあったE.T.A.ホフマンの書いた音楽評論集の題名(1814年 - 1815年刊)から引用されている。この作品はそれに霊感を得て作曲された。シューマンはその中に登場する、クライスラーという人物(ホフマンその人)を自分自身、さらに恋人(後の妻)クララの姿にも重ね合わせた。作品は作曲者のピアノ語法がふんだんに使用されており、曲は、急-緩-急-緩……と配置されている。全曲は3部形式を基調とし、それぞれに共通し、全曲を統括するモチーフや曲想が見られる。作曲者を代表する傑作である。
別の解説(一般社団法人全日本ピアノ指導者協会)では、
★「クライスレリアーナ」とは、E.T.A.ホフマンの小説に登場する「楽長クライスラー」から取ったタイトル。シューマンは自分より一世代上の作家E.T.A.ホフマンに傾倒しており、かなわぬ恋を描いたこの小説に自分とクララとの恋愛を重ねていた。この作品が生まれたのは、クララとの結婚に反対され苦しんでいた時期。音楽の創作が唯一の救いとなり、ピアノ作品の傑作が多く生まれたのもこの頃である。
一つの大きな主題のもとに小品をまとめるスタイルはシューマンの得意としていた形式だが、「クライスレリアーナ」は変奏曲でも小品集でもなく、各曲それぞれの表現が自然と統一へとつながるやり方が見事に結実している作品の一つ。
比較的単純な和声進行が、リズムを変えたり思いもかけない展開がなされたりして、大胆に広がっていく。情熱的ではあるが決して感傷的ではなく、文学的な詩情がダイナミックに音に表現されている。
これらの解説を見ても当のホフマンの作品集がどのような内容なのかはっきりしないのでよく理解できないのが悲しい。しかし「クライスレリアーナ」という8曲からなる曲がクララとの結婚が許されない時期の作品で、シューマンとクララを象徴する何らかのものが作品のベースになっていること、8つの曲で統一的な曲として作られたこと、などがわかる。このCDの解説を見てもクララの作った主題を素材として利用していると記されている。
私は伊藤恵のシューマニアーナの第1巻で「クライスレリアーナ」を初めて聴いた。ルビンシュタインの盤があるというのでこのCDを購入してみた。実は手に取った時にケースの裏面のモノクロのルビンシュタイン夫妻のともにはにかむような写真を見て、そのまま躊躇せずにレジに持って行ったことをよく覚えている。実にいいショットだと感心したものである。このように歳を取りたいものだと感じた。購入したのが定年まで3年を切っていた2009年頃だったと思う。
このクライスレリアーナ、私は第2曲、第3曲、第6曲、第8曲が特に好みである。作曲家は8曲全体をひとつのものとして意図したということだが、それでも私なりの好みはある。消え入るように終了するところが特に印象的である。作品17の幻想曲も同様である。