NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

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集改センター松山代表理事が『建築仕上技術』に寄稿

2015-01-19 18:12:06 | 事業案内&報告

集改センター松山代表理事が、建築仕上技術に下記の記事を寄稿しました。

 

「改修工事における仕上げ及び防水材料・工法への要望」

私が建築業界で働いた36年間で設計監理に20年余、後の15年間はマンション大規模修繕改修工事の設計監理を歩んできました。マンション大規模修繕の設計監理に関わった頃は、改修や修繕に関する専門書がほとんどなく、新築しか経験したことがない私にとってそれまで培ってきた知識と経験だけでは難しい仕事であると痛感したものです。以下では、この15年間積み重ねた体験(成功・失敗)から、材料や工法に対する不満と要望について、私なりに気付いたことを思いのまま綴ってみます。

<外壁工事について>

先ず、外壁工事で最もよく使う塗料で思うことは、下地コンクリートのひび割れに負けず塗膜が切れない塗料が出来ないものかということです。塗料メーカーが改修工事で一般的に推奨する塗料性能が1mmまでのひび割れに追従すれば、コンクリートへの雨水侵入は大幅に減ると思いますが、メーカー推奨の微弾性の塗料仕様ではそこまで期待できません。

また、下塗りのパターン付の際、同時に色付けできないのかと思うことがあります。そうすれば通常下塗りパターンの工程を含んだ3工程の仕上げを2工程で済ますことが可能にならないでしょうか。

次にタイル貼り壁ですが、昨今、タイル壁の落下事故が多いと実感しています。私も昨年、タイル壁の落下事故のある3件のマンション(うち2つは区分所有マンション)とお付き合いしました。私はタイル壁では補修修繕ではなく改良改善となる改修工事を行うことが重要ではないかと思います。BELCA「建築物のライフサイクルマネジメント用データ集」によれば、築10年の外壁タイルの浮きは壁量の6%とされています。これは見方を変えると、施工に不備がなくてもタイル壁は6%の不具合が発生します。その補修工事を一般的な工法(樹脂注入、ピンニング樹脂注入、貼替えなど)で施工するのでは将来にわたって不安を残します。少なくとも10年後の6%の不具合を解消できる工法(施工)で改修すべきであると思います。私はメーカーの独自工法(タイル表面全体を覆い落下防止をする施工やタイル接着)による改良改善が、改修工事として普及することが必要であると思います。メーカーの商品のさらなる研究開発とコストダウンに期待したいところです。

<防水工事について>

 ここでは陸屋根の防水について述べます。多くのマンションの陸屋根防水の工法は、露出防水か保護コンクリート防水です。また防水の改修工事に関しては、アスファルト・塩ビ・ゴム系などのシート防水とウレタン・アクリルゴム・セメント系などの塗膜防水が主流ですが、材料及び工法における要望はそれぞれ多く、また異なります。ここでは、私が常日頃に感じている共通の疑問点を考えてみます。

 前述の材料での防水の改修工事では、オーバーレイによる改修工事が一般的です。この工法は、既存防水層は残置し新たな防水材を重ね合わせるので信頼性が高く適切な工事とされるが果してそうでしょうか。屋根には雨水の落とし口(ドレン)がありますが、この工法では改修ドレンと称して既存の口径より小さくなるドレンが新たに取り付けられています。これでは、防水層は改良改善されていますが、既存ドレンより排水性能が劣る工事をしていることになり、防水の改修工事とは言えないのではないでしょうか。防水材料の開発者は、ドレンの排水性能を既存と同等、またはそれ以上にし、近年のゲリラ豪雨にも対応出来る製品・工法を提供していただきたいものです。

最後に、私たち設計・監理者及び改修に携わる施工関係者も、それぞれの材料・工法を適材適所で使い分け、性能が劣らない施工方法(仕上がり、納まり)を考えつく、能力ある技術者となるよう努力すべきことも忘れてはなりません。

 

NPO集改センター 代表理事 松山 功

 



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