NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、福岡を中心に大規模修繕工事やマンション管理運営をサポートいたします。

集改センターの第161回 スキルアップセミナー報告

2018-07-31 22:33:54 | スキルアップセミナー

第161回 スキルアップセミナー報告

開催日:2018年(平成30年)7月4日(水)

テーマ:「大規模修繕工事をより深めるために必要な事」

講 師:代講:松山 功【上村 允郎(本会・正会員/設計監理事業部長・建築担当)】

<セミナー概要>

■はじめに

工事関係者の皆様は、大規模修繕工事の必要性、工事内容、おおまかな進め方はお解りかと思います。しかし、実施にやってみると大なり小なり違うということがあるのではないでしょうか。私が今回、このタイトルでお話ししようと思った理由は、エンドユーザーに今まで培ってきたノウハウを提供できているか、要求に対して答えることができているか、材料やランニングコストについて幅広い提案ができているか、従来の施工方法、材料から脱却できていないのではないか、ということを感じているからです。

■大規模修繕工事の基本的なコンセプト

大規模修繕工事の提案をする場合、居住者が安全で快適な生活を送ることができる、考えうる劣化を未然に防ぎ健全な状態を維持する、資産価値の低下によるスラム化の防止、メンテナンスコストの抑制、美観・機能・性能等を失うことなく次世代に継承する、といったことが求められます。専有部についても目配りすることも必要です。目の前の大規模修繕工事だけの提案ではなく、数年後、十数年後を考慮したコンセプトが重要です。単に劣化が進行している部位を修繕し工事費用を抑える、ということではなく、コストは高くなってもロングスパンで考えれば結果的にローコストになる、という提案をすることが大事なのです。

■耐震基準について

6月18日に大阪北部地域を震源とした最大震度6弱の地震が起きました。耐震基準という言葉が改めてクローズアップされています。昭和56年5月以前の建物は旧耐震基準、それ以降のものを新耐震基準で建てられています。また、阪神・淡路大地震を受けて平成7年10月には旧耐震建物の改修の促進を図る法律が施行されました。現在、ほとんどのマンションは鉄筋コンクリートまたは鉄骨鉄筋コンクリートで造られています。新耐震基準で建てられている建物については、「震度5程度の地震にたいしては建物の機能が保持され、震度6程度の大地震においても、建物に損害が発生しても人命を保護できる」といわれています。

■従来工法・材料について

 最後に大規模修繕における工法・材料について検討します。従来工法では内外壁の塗装は、ローラー塗りで行われています。施工場所によっては吹付工具(エアーカーテンガン)を使用する工法で、工期の短縮、居住者の負担軽減等の面で効果があります。タイルの張替工事は類似品を探すか、窯元に発注して焼く、という方式が多くとられています。特注色合わせで発注すると、1~2か月程度納期がかかり、少量だと高額になるというデメリットがあります。既存タイルに塗料を吹き付けるという工法であれば、2週間程度の納期で、少量でも安くできるというメリットがあります。柔軟な思考で工法・材料の検討を行いましょう。

 

~次回開催予告~

■第162回スキルアップセミナー 2018年8月1日(水)午後3時から

 テーマ:組合員の高齢化と管理組合(相続放棄・成年後見人・認知症)

講 師:中島 亮平(本会・正会員/弁護士)

<マンション組合員の高齢化がますます加速します。入院・死亡・相続放棄・後見人などの事態で管理費の滞納が発生。管理組合の対応を考えてみましょう。>