NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

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集改センターの第35回 集改塾の報告です。

2017-06-09 09:12:18 | 集改塾

第35回 集改塾 報告(出席25名)

この日(6月7日、水曜日、午後7時00分~8時00分)は、外部講師として集改センター理事/設計監理事業部部長の上村允郎(K15建築設計事務所代表)を講師に招きました。

テーマは「新耐震基準建物と熊本震災復旧工事実例」について、耐震における基礎知識から始まり現在業務中の案件実例を交えて改修工事ではどこがポイントになるかなど幅広い内容の講義と質疑応答であっという間の90分でした。

 

< 塾生のレポート(感想)紹介 > 

今回は上村先生による熊本地震において被災したマンションの復旧工事についての貴重な講義でした。ボリュームが多く端おった内容とおっしゃられておりましたが、それでもかなり濃い内容でものすごくタメになりました。 大変感謝しております。

 

 私自身がこのような大きい事案に接することはないかもしれませんが、建物の基本的な構造を知ってなければいけないことをまず痛感しました。私は全くの異業種からこの世界に入り、新築に携われる機会はないですが、併せて勉強しなければいけないことも痛感しました。丁度、今、セコカンの試験勉強中なので上辺の知識はあっても実例も経験も乏しいですから、そういった意味でも参考になりましたし、セコカンの試験が終わっても引き続きというか一生勉強だな、と認識させられました。具体的な内容の中では、亀裂と耐震スリットの話は改修に携わるうえでも非常に勉強になりました。

 

思い起こせば私も現場調査に関わり始めた頃は窓の開口部の亀裂見て大丈夫かいな?とよく思ったものですが、素人である居住者さんの不安に思う気持ちを構造的な観点から大丈夫ですよと言って安心していただくというスタンスは営業であろうとコンサルの立場であろうと一緒だと思いますし、今回のような被災マンションだったら尚更のことだろうと思いました。経験と技術に裏打ちされた確かな知見で居住者様の内面にしっかり落とし込めた先生の対応は大変参考になりました。また、常に、居住者様目線で捉え、初心は忘れてはいけないと改めて思いました。

 

また、耐震スリットなど伸縮目地がタイルに隠されてる事例はよく見聞きしますが、モルタルで埋めてる事例は初めて聞いたので、驚いたとともに今後注意して見ねばいけない点だなと感じた点でも勉強になりました。今回で学べたことは上村先生の経験からすればほんの一部に過ぎないと思いますが、経験の浅い私には有意義なものでしたし、第2弾、第3弾とやっていただけることをまた期待したいと思います。

 

 

熊本震災復旧工事の話を聞いて。

改修工事を行う中で、新築の知識が必要なことは、以前から何度も聞かされていました。やはり、どんな建物でどんな状況かを現調なり診断して、修繕工事内容や改修工事内容を決めていくのには、この建物は一体どんな建物だろうか?ということが前提となるのだなと再認識させていただきました。この地震復旧工事でも、このマンションの構造計算からの耐力や耐震基準どういうもので、どんな被害があって、だからどんな修繕が必要で、さらに補助金の基準や認定補助、さらには地震保険のことまで考えて、その上で住んでいる居住者様の心配も取り除き、出来うる最高の工事をしようというのを感じました。

修繕・改修工事には経年劣化の他に、新築時の設計上の問題、施工上の不具合からくる欠陥や問題点が数多くありますが、現状建っている物に起きている問題は何かを判断し、実行に移すには、幅広い分野の知識や新築の知識なしにはできないと思いました。

今僕は、1級建築施工管理技士の勉強中ですが、やはり新築の基本的なことから勉強させられます。施工管理においては新築も改修もなく、幅広い知識が必要であることがわかりました。冒頭で、僕たちの大半の現状が建築系の学校出身ではないことや、新築工事にも触れてこなかった現状にも関わらず、勉強次第ではこの業界でやっていくことができるよと言っていただきましたが、なんて高い山に上って行こうとしているのか?と滅入りそうになることもあります。順番にできることから一歩ずつ前に。というところでなんとかやっておりますが、まだまだ頑張らないとダメだなと思いました。そういった意味から、今回このような経験談を聞けたのは非常に有意義だったと思います。今はわからない事も多く、聞いていて、ただただ感心することが多かったなというのが今現在の感想です。

コンクリートの中性化深度試験自体は知っていましたが、計測方法が大事で、本当の意味では、それをやっただけでは本来の目的を達成できていない事を知ることができました。恥ずかしながら、最近知ったタイルの引っ張り検査の結果で、破断面はモルタルと躯体面の接着界面の破断が50%超えると強度は出ても有効ではないということに似ているなと感じました。カバー工法で改修した場合の玄関ドアに関する注意事項は、良かれと思ってやった改修が思わぬ落とし穴になったりすることもある、ということがわかりました。こんな経験も、やはり自分で経験するのが一番良いとは思いますが、なにせ決められた時間の中で多くの知識と経験が必要な仕事ですので、上村先生もおっしゃるように勉強は必要で、また、いろんな分野の集まりにも積極的に参加したほうがいいと思いました。

僕たちがやっている修繕工事や改修工事に対し、盗める知識や経験がいっぱい詰まった資料だと思いましたので、覚えるまでしばらく持ち歩きます。今回は貴重な経験談を提供していただきありがとうございます。

また機会があれば、じっくりと他の話も聞かせていただきたいと思いました。是非宜しくお願い致します。

 

 

< 塾長の声 >

今回は1月の企画会議の時に塾生から「私以外のコンサルタントからの話も聞きたい」との要望に応え、設計監理事業部メンバーで改修工事コンサルタントとして最も実績豊富な上村氏に依頼して実現しました。この日受講の塾生23名は、いつもの塾とは違った意気込みで受講していたように感じました。上村トークに魅了された後の質疑応答も普段とは違う活発で多くの質問があり、第2弾、3弾の企画が必要だと感じた集改塾でした。

 

以上。