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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

西脇順三郎の一行(6)

2013-11-23 00:00:00 | 西脇の一行
西脇順三郎の一行(6)

 「皿」

模様のある皿のなかで顔を洗つて

 模様のある洗面器(?)に水を張って顔を洗う--ということなのかもしれないけれど。水のなかで目をあけて、皿(洗面器)の模様を見ている感じがする。
 眠りから覚めて、水のなかで目を覚まそうとして、もう一度見る「現実の夢」。
 あるいは、水をすくいながら、水底の「模様」を掬い取ろうとする「現実の夢」。
 いずれにしろ、「洗面器」ではなく、「皿」であること--現実を叩き割るような、ことばの「まちがい」が輝かしい。「模様のある洗面器」ではつまらない。「ちゃわん」という長い音ではなく「さら」という短い音も、この「まちがい」には効果的だ。「まちがい」は長くなると嘘になる。

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