西脇順三郎の一行(6)
「皿」
模様のある洗面器(?)に水を張って顔を洗う--ということなのかもしれないけれど。水のなかで目をあけて、皿(洗面器)の模様を見ている感じがする。
眠りから覚めて、水のなかで目を覚まそうとして、もう一度見る「現実の夢」。
あるいは、水をすくいながら、水底の「模様」を掬い取ろうとする「現実の夢」。
いずれにしろ、「洗面器」ではなく、「皿」であること--現実を叩き割るような、ことばの「まちがい」が輝かしい。「模様のある洗面器」ではつまらない。「ちゃわん」という長い音ではなく「さら」という短い音も、この「まちがい」には効果的だ。「まちがい」は長くなると嘘になる。
「皿」
模様のある皿のなかで顔を洗つて
模様のある洗面器(?)に水を張って顔を洗う--ということなのかもしれないけれど。水のなかで目をあけて、皿(洗面器)の模様を見ている感じがする。
眠りから覚めて、水のなかで目を覚まそうとして、もう一度見る「現実の夢」。
あるいは、水をすくいながら、水底の「模様」を掬い取ろうとする「現実の夢」。
いずれにしろ、「洗面器」ではなく、「皿」であること--現実を叩き割るような、ことばの「まちがい」が輝かしい。「模様のある洗面器」ではつまらない。「ちゃわん」という長い音ではなく「さら」という短い音も、この「まちがい」には効果的だ。「まちがい」は長くなると嘘になる。