詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

西脇順三郎の一行(99)

2014-02-24 06:00:00 | 西脇の一行
西脇順三郎の一行(99)

「しほつち」

すきとおるラムネビン色の

 ふつうに書けば「すきおとるラムネのビンの色の」かもしれない。西脇の大好きな「の」がここでは2回も省略されている。不自然なことばなのかもしれないが、その不自然さがラムネのビンのまがった形と色をひとつにしている。色だけがあるのではなく、形がいっしょに、そこにある。そこにはラムネの炭酸水の透明も含まれるのかもしれないが、ラムネが入っていなくても「ラムネビン」なのだ。形と色がラムネビン。
 この全体的な結合が美しい。「の」がないことによって結合が強くなる。

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