詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

西脇順三郎の一行(106 )

2014-03-04 06:00:00 | 西脇の一行
西脇順三郎の一行(106 )


「トゲ」

トウガラシが醍醐寺の塔のように

 トウガラシという自然の小さなものと醍醐寺のとりあわせ--こういう組み合わせに出合うと、確かに詩は異質なものの出会いなのだと思う。
 この一行のなかには濁音が美しく響いている。また「トウ」がらし、と「塔(とう)」の音の重なり、引きのばれれる声のよろこびがあって、さらに「のように」にそれがつながっていく。「……のように」というのは、まるで小学生の「比喩」のような書き方だが、その「よう」が音としても美しく響くところが西脇の特徴だろう。

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1 コメント

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西脇順三郎ー106 (大井川賢治)
2024-02-17 22:08:46
西脇さんの詩における比喩には、僭越ながら、時代を感じます。比喩に出てくる現物に古さを感じるのです。嵯峨さんの詩にも似た感想を持ちます。もちろん、それが詩の価値を下げているとは全く思いませんが。一方、よく出てくる谷川さんの詩には、彼ら二人における時代性はあまり感じません。何故でしょうか~一方、西脇さんの詩には、読んで味わう知的な喜びが満載ですね。
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