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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

安倍の論法(沈黙作戦)

2018-01-30 21:45:52 | 自民党憲法改正草案を読む
安倍の論法(沈黙作戦)
             自民党憲法改正草案を読む/番外173(情報の読み方)

 2018年1月30日読売新聞夕刊(西部版・4版)の3面。

「自衛隊根拠 憲法明記を」/衆院予算委 首相、改めて強調

 という見出しで、衆院予算委の答弁を伝えている。それによると、

首相は9条1項、2項を維持し、自衛隊の根拠規定を追加する案を提唱している。首相は「2項を変えることになれば、(書き方次第で)全面的な集団的自衛権の行使を認めることも可能となるが、2項を残す私の提案では、今までの政府の解釈と同じだ」と述べ、2項改正案に否定的な考えを示した。

 2項を残すから「戦争放棄」は守られるのか。
 考えてみないといけないことはいろいろある。
 読売新聞は「書き方次第で」ということばを安倍の答弁に補っている。この「書き方」が問題である。
 安倍の答弁は、具体的なようで具体的ではない。抽象的である。つまり「書き方」が明示されていない。
 ここが一番の問題である。
 昨年6月22日の「自民党憲法改正推進本部」の会合では「たたき台」が出されている。そこには「書き方(文言)」が明確に示されている。その文言の問題点は「憲法9条改正、これでいいのか」(ポエムピース)に書いたので繰り返さない。
 これが12月の推進本部の後では「2案併記」という形で概略が示されたが、「文言」は公表されなかった。「書き方」が明示されなかった。したがって、文言のどこに問題があるかを誰も指摘できなかった。
 これが30日の答弁でも繰り返されている。
 憲法に限らず、法律は「書き方」が問題である。「書き方」にすべてがあらわされている。
 「自民党憲法改正草案」では、たとえば「個人」が「人」になり、婚姻をめぐる項目では「両性のみ」の「のみ」が削除されている。そこに「意味」というか、「わな」がある。
 どう「書くか」(書き方)を点検しないと、問題点が見えない。
 安倍は、これを最後まで隠し続けるだろう。その一方で、野党に対案を出せと迫るだろう。対案を出さないのは無責任だと攻めるだろう。
 だが、対案を出したらどうなるのか。
 野党の案に対して、自民党が質問攻勢に入る。国会の審議時間は限られているから、野党の案が審議される分だけ、自民党の案が審議される時間が少なくなる。それでも審議の総時間は達成するから、「審議は尽くされた」という形で審議は打ち切りになる。自民党の案の問題点が明確にならない内に国会発議→国民投票ということになる。
 安倍の狙いはそこにある。
 国民に議論させない。安倍の案の問題点を指摘する時間を与えない。国民が議論し、認識を深めるだけの時間を与えない。

 国民の理解を得たいなら、早急に「改憲案」を明示して、何度でも「説明会」を開くというのが本来の姿だろう。特になかなか理解をえられないと思えば、時間をかけて説明すべきものだろう。20年までに改憲をするというのなら、いまごろは各地で説明会が開かれているべきである。具体的な案について説明されているべきである。説明は何度繰り返されてもいい。多くて困るということはない。
 安倍は、逆をやろうとしている。
 「静かな環境」というのは、安倍の大好きなことばだが、憲法改正も「静かな環境」でやろうとしている。
 毎日毎日どこかで「憲法改正についての説明会」が開かれていれば、「うるさい」。「説明会」が繰り返し開かれれば、理解が深まると同時に、見過ごしていた疑問点もだんだん浮かび上がる。どういうことでもそうだが、「疑問点」というのはなかなかすぐには浮かび上がらない。説明されると、あ、そうかなあ、と思ってしまう。しばらくたって、考え直してみると、でも変だなあという気持ちになる。そして、そのことを質問する。そういうことが少しずつ増えてくる。一般論としてはそれでいいけれど、それが自分のことだったらどうなるのかなあ、自分に何ができるのかなあと考えると、疑問点が増えてくる。
 議論とは、そういうものなのに、あるいはそういうものだからこそなのか、安倍は「議論封じ」をする。いつでも「静かな環境」と言う。
 これは言い換えると「批判の声がない環境」である。
 こういう安倍の「沈黙作戦」を許してはならない。





#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


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