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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

西脇順三郎の一行(13)

2013-11-30 06:00:00 | 西脇の一行
西脇順三郎の一行(13)


 詩集『旅人かへらず』は「現代詩文庫」では抜粋がの形で収録されている。それでも「断章」ごとに1行を選んで書いていくと膨大なものになる。1行だけの「断章」もある。ここでは、「現代詩文庫」の1ページから1行という形で書くことにする。

 「一」(22頁)

ああかけすが鳴いてやかましい

 「音」がとても美しい。
 きのう書くのを忘れたが、「汝カンシャクもちの旅人よ」という1行も「音」がとても美しい。耳に気持ちよく響く。な「ん」じ、か「ん」しゃく、ということばのなかの「ん」のリズムが気持ちがいい。音のない「ん」のあとに「しゃ」という突き破るような音がくるのもいいなあ。「よ」で終わる「気取り(?)」を含んだ口まわしも、声に出してみたいという気持ちをそそる。
 きょうの1行「ああかけすが鳴いてやかましい」には「か」の繰り返しと「あ(母音)」の繰り返しがある。開放的な音がつづく。それが、とても気持ちがいい。
 何よりも「やかましい」という口語(俗語?)がいいなあ。「意味」としては「うるさい」と大差(?)はないのだが、「うるさい」だと、つまらないね。「意味」だけになるね。
 また、ここに「口語(俗語?)」が出てくることの意外性もいい。
 この1行の前には「永劫」などというわけのわからない「意味」の強いことばがでてくる。「えいごう」という音はかっこいいが、「意味」がかっこいいかどうか、私にはわからない。いや「意味」自体も、私はよくわからないのだが--そういう何か「頭」をこりかたまらせることばを「やかましい」という口語が破る。


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