eSSay

エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

平和な世の中の陰で

2006-12-03 09:24:17 | エッセイ
 
 師走。紅白の出場歌手(知らない歌手がまた増えた)や流行語大賞(「イナバウアー」と「品格」だった)が発表され、そろそろ〈今年の漢字〉も(今年はおそらく「王」だと思うが)、というこの時季になると、このまま何事もなく終わってくれればいい、という気持ちになる。

 平和な世の中の陰で、と書くと、裏でうごめく怪しい動きという話みたいだが、そうではなく、そういったものを誰かが防いでいるという話(特に最近では、ネット監視というのが重要な仕事になっている)。

 たとえば乗り物。自動車に新幹線、飛行機に船。たまに事故や故障はあるものの、乗り心地に始まって、安全性や耐久性といったことについて、数々の実験や検査が行なわれているに違いない。さらに、鉄道などは時間通りの運行ができるよう、線路や架線の保守点検も行なわなければならない。
 たとえば食べ物。飲み物それに薬といったものを含め、安全性や有効性、そして品質(一定かどうか、異物や菌の汚染がないか)の面で、無駄とも思えるような数々の検証や作業が行なわれているに違いない。さらに、供給不足にならないよう、流通管理に携わっている人たちもたくさんいるはずだ。
 ビルなどの建物しかり、テレビなどの電化製品しかり。研究、開発、製造それぞれの過程でさまざまな検証がなされているはずだ。

 その他、道路や電気・ガス・水道といったいわゆるインフラ整備、環境汚染を防ぐための数々の活動もある。また、ニュースになって初めてその存在がクローズアップされる、警察や入出国管理などの公安関係も、テロなどの犯罪を、未然に防いでいるはずだ。
 事件・事故が起きていないから何もしていないんじゃなくて、その業務の性格上、地道なそして大変な努力をしているから、事件が起きていないのだとも言える(やり過ぎも中にはあろうが)。

 他にも、金融関係やら教育関係やら、さまざまな業種の人たちが毎日毎日、その担当の業務を黙々と(いろいろ問題もあるようだし、グチ言いながらやっている人もあろうが)こなしているからこそ、平和な世の中がある。
 あと、安全とは直接関係ないけれども、娯楽・芸術の世界だと、素人目にはどうでもいいと思われるようなことにも、こだわってこだわって創作しているようだ。

 一般の人たちはあまり意識しないけれども、安全のための活動というのは確かに存在している。そういう、総合すると膨大な努力があってはじめて、世の中平和に保たれている。
 あと1ヶ月、無事に正月が迎えられますように。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする