Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

台風日和のフルトベングラー

2018-08-09 13:03:28 | ラジオ亭便り
翌日は台風13号が関東地方へ上陸するかもしれないというネットニュースを眺めながら夜半の自炊に励む。平塚港で朝獲れたという鯵の刺身が主食だ。ミョウガ、大葉、あさつきを薬味として添える。定番の土鍋炊き、アスナロ玄米、鶏のモモ肉もオリーブ油で唐揚げ、胡瓜の浅漬けも加わって万全の夏料理になった。棚田で作った玄米が体調をよくしてるというのも気のせいかもしれないが、玄米は丁寧に噛む癖がつくので過食がないところが利点だと確信するようになった。


年初に引いて長引いた風邪のせいで体重が4キロ減量した。これを機に近くに住むスローフード、エスニック食のエキスパート女史のアドバイスを受け入れ外食を減らし、野菜中心メニューに切り替えをしていて体調が維持されているのも気のせいかもしれないが、良い方向だと思っている。

食後は珍しくBGMをフルトベングラーのベートーヴェン、交響曲全集を引っ張りだす。横須賀に住むオーディオマニアのAさんが進呈してくれた質素な紙ジャケのワーナー盤CD全集である。10代の頃、クラシック音楽に目覚めて伊勢佐木町の裏路地にあった名曲喫茶店の「田園」に通った時期がある。

ここで開眼したのがモーツアルトの交響曲、協奏曲、器楽曲等でブルーノ・ワルター指揮のコロムビア交響楽団の39・40・41番交響曲などの主旋律は口笛で再現するくらい身体に染み付いたものになっている。その「田園」では無論、メンデルスゾーン、ブラームス、シューベルトの名曲に親しんでロマン派音楽の奥をチョッピリ垣間見た次第である。

その喫茶店では定時コンサートがあって清楚な雰囲気のお姉さんがナレーションをする新譜紹介も楽しみの一つであった。フルベンの「英雄」「運命」「「第九合唱付」などの歴史的名演奏は耳にタコができるほど聴いたのを思い出したが、意外とその店で聴いていないのが第六番の「田園」だった。当時はオイゲン・ヨッフムのまったりとした「田園」がよくかかっていたような記憶が蘇る。

そこで今夜はフルベン指揮、1952年のスタジオ録音になるウイーンフィルのCDリマスタリング盤を聴く気になる。再生は戦後復興の音力的気迫が漲るSABAのフルレンジ、モノラルスピーカーで文句のつけようがない。フルベン指揮になる典雅と精密を兼備したウイーンフィルの第六交響曲をしばし聴き込む。ゲルマン共同体と背後の森を控えた田舎の風景に包まれるベートーヴェンの自然に対する畏怖や愛惜感情の全てをフルベンの指揮が物語っている。 昔、小林秀雄が音楽が到来してくる瞬間の全体感情を語っていたことをフルベンの演奏から感じ入る夜半になった。

営業日ご案内 8月9日 (水)夕方 〜 11・12日(土・日)13時〜18時