Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

宝船の縁起を担ぐ

2017-10-10 05:57:10 | ラジオ亭便り
ぽつりぽつりとやってくるお客さんと接客に追われていない時には雑談になることがある。夕暮れになると珈琲を飲みに現れる近所の丘に住む紳士もそんな一人だ。その方は道教や日本古代神話についてとても詳しい。政局を賑わせている 右翼女性都知事の政治家と、「西遊記」に登場する神話的動物「猪八戒」の欲得行動の類似性をさらりと語るところ等が床屋政談にありがちな庶民型ナショナリズムの域を超えていて面白い。


先日は 店の模様替えに触れた話題が 出た 時にこの紳士らしいアドバイスを貰った。模様替えを重ねて居心地を追求しても客数は相変わらずとジョーク混じりに答えていた時だ。「この前、あなたに見せて貰った棟方志功の伏見稲荷が発行した木版画があったでしょ?あれを早く額に収めてみたら!」と言う。ついでに草創期の稲荷信仰の意義や 由縁を軽く 語っても嫌味にならないのがこの紳士の上質個性だ。50年以上経って和紙も黄ばんでいる棟方志功が描いたオメデタ風物 を満載した 宝船の木版画である。円熟期の志功らしい早い鑿技が躍動している絵を改めて眺めていたら額に収める気が湧いてきた。

大正期の儚い美人画の入った額を取り替えてみる。これを店に飾って三日目。秋の好天気も起因しているのだろうが、十ヶ月も顔を現さなかった初老の婦人客が二日続きで来たり、予期しない知己へ不要家財を買って貰ったり、重量物の移動で思案しているところへ偶然現れた技術力に長けたお客さんが助けてくれたり、良き現象の続出である。伏見稲荷大社宝船の御利益だろうか?

営業日ご案内 10月12日(木)〜15日 (日) 通常営業日 12時〜19時