Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

引越し

2012-09-27 18:31:27 | 旅行
お彼岸を境に肌寒いくらいの秋になった。暑さが居残っている渦中の引越し準備に追われてブログの書き込みもすっかりご無沙汰してしまった。

大山の東裾にある日向の里で暮らして早いもので足かけ五年になって、相応に体力も気力も衰えてきた。60も半ばになるのだから無理もない。
しかし貧窮暮らしなのに、物の減量は少しも進んでいない状態だ。書籍類、レコードLP、音響機器・そして陶磁器の山を眺めて嘆く。

これらの残骸の全てを残して突然、あの世から召されたらどうしょう!という不安がよぎっているこの頃である。縁者の妹などは、世俗の常識で生きていて、癇性な気質だから、さぞかし兄貴を罵倒するのではないか?などと気弱にもなってきた。類縁もいない山里の撤退にはちょうどよい時期で物を減らそうと、年明けから物減らしを目指すことになった。

そのついでに引越しを初夏時分から計画していたら、18キロ程小田急線を東京方面に戻った神奈川の都市部に近いマンションに移住することがとんとん拍子に決まった。
三階建ての切り妻屋根の外観をもつ低層住宅の一階が今度の棲み処である。
3DKの間取りで築25年という新鮮味も湧かない外観だ。しかし経年変化がもたらす薄汚れた外壁や錆が浮いている窓の鉄枠等に独特な「スガレた」風情が漂っていてなかなかいい。

蔦が絡んでいる住居の北側などは、窓の視界に鉄砲百合や芙蓉の花がひっそりと咲いている風景も映ってくる。渋谷時代に近くを散歩していた代官山の同潤会アパート等と共通する香りを感じて、変なことに感銘する自分というものは年をとっても変わらないものだと苦笑している。

オシロイバナや毒ダミが群生する専用庭を刈り込んで来春のガーデニングを夢想しながら、しこしこと不定形に自力移転を重ねていたが、ようやくこの30日で日向を明け渡すことになった。

気忙しい夏から秋になってしまったが、今度の旧新居のレイアウトは昭和風小市民住居を更に煮詰めてみようという一抹の楽しみも待っている。
蒸し風呂みたいな晩夏の京都を巡って美味な京料理も味わったよい夏でもあったが、河井寛次郎記念館の旧居のしつらえは最高の涼風を心にもたらしてくれた。
引越しを転機に寛次郎の部屋が醸しだす和み溢れるセンスをよく咀嚼して、自分のものにできたらいいな!という秋めいた心境を迎えている。