外教生活 in 中国山東省濰坊-淄博-泰安-済南 & 北京

~旧タイトル:日本語教師LIFE~

回顧録Vol.2 二日目

2013年05月12日 | 日記
3時間半のバス

濰坊で生活していた3年間は病気でもしない限り朝5時半起床を続けていましたので
5時の起床など大したことなかったのですが、日本で生活を始めて6時過ぎの
サイクルに変わりましたので、この朝6時出発というバスの時刻は結構なプレッシャーでした。
しかも宿泊したホテルが経済房という最も安いプランの部屋で廊下に囲まれた窓の無い一室。
それでも起きる自信はあったものの、携帯電話のアラームを二重にセットしました。

結果はそのアラームの30分前に起床しました。。

ホテルを5時半にチェックアウトしバスターミナルへ。既に明るい。
ちょっと思いついたことがあり、チケット販売窓口へ。
昨夜私と学生2人分の計3枚のチケットを購入してはおいたのですが、もう一枚荷物用の
チケットを購入しました。
以前別の場所から青島行きの長距離バスを利用した際、所々で停まっては乗客を降ろしたり
新たに乗せたりしていたことがあり、同様のことを行うバスだと車体下の部分に預けた
荷物が持っていかれる可能性も否定出来ないので、安全の為に購入したのですね。

乗ったバスは済南直行で途中SA以外には停まらなかったので、その心配は杞憂に終わり
ましたが、それでも傍に置いてあることの安心感はチケット代以上のものがありました。
運転手からは怪訝な顔で見られましたけどね(笑)

バスは6時出発のはずが、座席が埋まってから出発するという種類の便で待つこと30分、
漸く出発しました。
3時間で到着しても残り30分で式場に到着できるのかな・・・。

途中反対車線が渋滞になっているので、大変だなと眺めておりましたら、こちらの車線まで
渋滞。自然渋滞か事故でも起きたか、まるで分からない。
時計の針は我々の事情に関係なく先に進む。

結婚式開始どころか、式そのものにも間に合うのかさえ分からない。
最悪、式が終わった後でも本人と会って話ができればいいか、と二人に話しました。

暫くして渋滞の原因が事故であることが判明したのですが、どうやら4台くらいの玉突きの
様子でした。我先にと走行車線ではない部分に無理やり出てくる輩も多いので、事故が起きても
全く不思議ではないですね。

済南のバスターミナルに到着したのが10時頃。30分遅く出発した挙句に3時間半かかって
漸く到着。ここからタクシーで式場に向かいました。

結婚式

タクシーは市内のバイパスを走り、目的地へ。
ここだよ、と案内されたのがホテルとは思えないような少々古びた建物でした。
建物の前に結婚式特有の飾りが二つあり、少々小さめの方が教え子の結婚式の案内。
入口付近を見ると、どことなくのんびりムード。しかも数人が暇そうに喋っている。
開始している割には、受付の人数が多いと思いながら、スタッフの案内に着いて会場へ。

中型とはいえスーツケースを引きながら入ってくる客に注目が集まります。
久々に浴びる外国人としての視線。
席は奥の方にある新婦の関係者が座るテーブル。
私が今まで出席した中国式の結婚式は日本のような席次が決まっているような形式は一切なく
どこか空いている席を案内されるのがほとんどです。
着席したあとで、新郎側のお父さんが挨拶に来てくださいました。
「わざわざ遠方から本当にありがとうございます」と。
方言が聞き取れなかったので、学生に通訳を頼んでの会話でしたが・・。

その後、あっちの席がいいですよ、と雛壇により近い、新婦の大学以前の友達が座っている
席に案内されました。
最初に案内されたのはいかつい顔をした男性が二人座っていた席で、白酒を勧められはしないかと
少し心配していたので、ホッとしました。

新しい席に移ったあと、ひな壇の横に設けられたスクリーンに映し出される写真のスライドショー
を眺めていました。今は日本でもこのようなサービスがあるようですが、もし仮に私自身が
披露宴を行うことがあったとして、これは控えて欲しいと思ってしまうものですね。
恥ずかしくて仕方がない。もちろん、結婚相手が中国人になった場合は断れないでしょうね。

結婚式はいつ始まるのだろう、と待っておりましたら、右側にスレンダー美人が座りました。
左に座っていた芳から新婦の姉だと紹介され驚きました。
なにせ、顔から体つきがまるで違うのです。しかし美人であることには変わりない。
かつて叶姉妹が本当の姉妹であると勘違いしていたことがありましたが、今回は逆のパターン
ですね。

そのお姉さんの話によると結婚式の開始は11時18分だと。
10時頃と随分と開きがありますが、まあ到着後も余裕を持てたので結果オーライですね。

開始時間まで暇を持て余している時に新郎新婦が挨拶に来てくれました。
新郎も同じ大学の学生で、確かに見覚えはある。
お父さんと同じような挨拶で握手を求めてきました。なかなか誠実そうな男です。
彼ら二人は高校時代から付き合っていたそうで、交際期間が6年なのだとか。
あまりにも早い結婚に若者にありがちな理由を推測したのですが、そうではなく、彼の方から
早く結婚したいと申し出たのだそうです。
中国では一度仕事を始めるとお互いに時間が合わなくなることもありますから、タイミングは
ちょうど良かったのかもしれません。

式は順調に始まり、順調に進みました。
司会を担当されている男性がやけに声の張りがいい。
ホテルと契約されている方なのかどうか、司会をするくらいですから発声がいいのは当然
なのでしょうが、式の進行中にBGMに合わせて歌を添えたりするのですがこれがまた上手い。
新婦のお色直しの最中に、「私で良ければ歌を歌います」と控えめに断った上で歌ったのが
私が中国の歌で唯一この歌をカラオケで歌えたらどんなに格好いいだろうと思っている
京劇役者の歌。前段を男の声で後半を女性の声で歌うのですが、見事な声なのですね。
私は思わずブラボー!と声を上げました。
ただ、残念ながら、この司会者が歌の最中に我々のテーブルに近寄った際に私がサムズアップを
して彼からも返してもらったのに、その映像がない。
どうやら興奮のあまり、録画ボタンを押し忘れたままフィンダーだけ向けていたようです。
夜にホテルでそのデータがないことを知ったときは、かなりショックでした。

宴もそろそろ終盤というころに新郎新婦の手伝いをしている中国語では幇娘という役割をして
いる、彼女らも教え子ですが、二人から呼ばれてひな壇へ向かいました。
最後の記念撮影です。
普通は家族や親戚縁者、結婚式に携わったスタッフが記念撮影としてこの式の為にスタンバイ
しているカメラマンによって撮影されるのですが、今回は私も貴賓として呼ばれました。
とびきりの笑顔になっているかどうかは分かりませんが、彼らの記念に残る一枚になることは
確実だと思っています。

席に戻った後で、同じ席にいながら怪訝な顔でこちらを見ていた新婦の旧友からも記念撮影を
求められました。初めは中国語が分からない外国人?といったような見方だったのですが
私がお姉さんや新郎と中国語で言葉を交わすうちに安心したようです。
私も学生や知り合い以外から撮影を依頼されるのは久しぶりなので少し驚きはしましたが
快く応じました。最後の一年くらいで会得した?写真用の笑顔で。

日本で生活していれば、ごくごく一般的な市民ですし、元々撮影は好きですが、被写体になる
のは嫌いな人間でしたので、極力そういう機会は避けていたのですが、外教という仕事は
何かのきっかけで学生と一緒に被写体になるケースが多いので、割り切ってポーズを取るなど
努力はしていたのですが、自分の表情を見るたびに、これではいけないと感じていたのです。

顔が笑ってない。

もちろん、怒っているわけでもなく、学生が喜んでくれるのでこちらも嬉しいのですが
顔は無表情のままだったのですね。

以前、同じ学校にいらっしゃった同僚の先生が写真撮影の度に写真用の笑顔をされていて
どうすればあのような笑顔が作れるのか不思議だったのです。
ある時、CAを養成するドラマだったか何かを見てその方法が分かって以来、出来る限り
その笑顔を作れるように工夫してきました。

自分自身ではそんなに価値があると思っていなくても、撮影を依頼してきた学生によっては
初めて会った日本人であったり、何らかの記念になる一枚であったりするので私の勝手な
判断で粗末な一枚にするわけにはいきません。

久々に数回もフラッシュを浴びたので口角を上げる頬が痙攣するかと思いましたが・・(笑)

式場を後にする時、私のサービスぶりに感激してくれたのか、新婦のお姉さんがわざわざ
私のスーツケースを持って式場を誘導し玄関まで送ってくれました。
当初は外国人を見慣れないのか、作り笑顔で話していたのが、別れ際には心からの笑顔で
「謝謝老師、再見」と見送ってくれました。

その後、新郎新婦が私の為に用意したという車まで案内してくれて、乗車。
窓を開けて『お幸せに!』と叫んでお別れをしたのですが、この意味を彼女が分かったか
どうか今となっては不明です。
幸せという単語はもちろん知っているのですが、「なってください」が省略されているこの
結婚式特有の常套句は教科書にはなかったかもしれないですね。

夜に写真を数枚QQでアップしましたら、あまりにも若い結婚式に驚きの声がある一方
私が出席することを歓迎する声もちらほらありました。

私にとっては初めての教え子の結婚式ですが、これをきっかけに結婚式に招待してくれる
教え子が増えてくれればいいと思っています。もちろん私が中国にいる間にですが・・。
彼女らの綺麗な姿を見ると共に、必ずや同級生や友達が参加するはずですから、ちょっとした
同窓会にもなるのですね。
彼ら彼女らと昔話をする。それが楽しみで仕方がないのです。



2013.04.29 教え子の結婚式

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