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動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

星の王子さま

2007-07-05 17:02:03 | Weblog

今日は【星の王子さま】のことをちょっと書きます。
小説の感想は久しぶりです、2月5日の【忍びの者】(村山知義著)以来!
ここのところずーっと【時空マジシャン】のオープニング・ムービー制作日記
ばかりでしたからね。

私は星の王子さまをこのたび初めて読みました。

『ええー、うそー、信じらんなーい』っていう反応が多いのでしょうか?
それとも『オレも読んだことないけど...』という人もけっこういますかね。
私の場合ただ単に今まで読む機会がなかっただけなんですけど。
それに図書館で借りてこようとか、書店で買おうとかいう気持ちにはなぜか
ならなかったんですよね。

『じゃあ何で今になって読んだわけ?』と問われれば、

今年の4月ごろサンテグジュペリの星の王子さまの原画が1点日本で見つかった
というニュースがありましたが、『へー、そうなのか...』と私の頭に何となく
そのことがインプットされました。

さらに駅で快速電車を待っている時にちょっと駅の書店をのぞいたら、目の前に
星の王子さまの本(文庫、池澤夏樹・訳)があって『読め!』と言わんばかり
だったので『じゃあ読んでみようか』ということになったわけです...たいした
きっかけじゃないですよね。

献辞に(小さな子供だったころの)親友レオン・ウェルトに捧げるとあります。

私も子供の心を失った...かどうかは分かりませんが普段は大人的な考え方で
生きていると思うので、子供心を掘り起こしながら読んでみました。

それにしても語り手である「ぼく」がおかしな声がするので目を覚ますと
いきなり『ヒツジの絵を描いて』と王子さまに頼まれる(ぼくと王子さまの)
初対面のシーンは、かわいいというか魅力的ですねえ。

それからバオバブが成長して巨木になると王子さまの小さな惑星を滅ぼすので
小さな芽のうちにヒツジに食べさせようと考えたり、かわいい発想がたくさん
出てきます。よくそんなこと思いつきますよね、サンテグジュペリは。

でも子供のころは私もそんな突拍子も無いこと考えていたような気もします。

この物語は読みながらあっちこっちで脱線してあれこれ考えてしまいました。

『自分もやっぱり子供のころのみずみずしい感性はなくしちゃったかな...
社会人として生きていくうちにずいぶん鎧もまとったし、バリヤーも張り巡らし
たから何も感じなくなっちゃったかも...よし、鎧を取っ払ってみるか!
などと考えてみたり、
『いやいや、やっぱり裸で歩いてたらあっと言う間に傷だらけだよ。
世の中甘くないからね...』などとつぶやきながら鎧をまとったり。

王子さま曰く『目には見えないんだよ。心の目でさがさないと

『マンガではよくあるよね、視力を失った剣士が絶体絶命のピーンチ!でも心の
目で敵の剣をかわし逆転勝ち、そんなうまくいくわけないよ...いかんいかん、
これは素直じゃないひねくれた大人の感性だ!』などと葛藤してみたり。

そしていよいよラストシーンが近づき緊張感が高まってきます。

王子さまの足元で黄色いものがキラッと光り、やがて彼は音も無くと倒れます。

そして6年の歳月が過ぎ...

このあたりのシーンはやはり子供のころに読んでその時に感じたことと、大人に
なってからもう一度読んでその感じ方の違いを比較したいところでした。

でも子供のころの私はそんなに感受性が強い子供でもなかったので、きっと
明け方、王子さまの身体がなくなっていたのだから自分の惑星に帰ったに決まっているさ』とシンプルに考えていたと思います。

今この本を読んで(このシーンについて)思うことは、人生で避けることが出来ない愛する人との永遠の別れのことです。

やがてその時が訪れたときに、このシーンは所詮子供向けのおとぎ話だったと
色褪せてみえるのでしょうか...

それとも今と同じようにキラキラと星のように輝いているのでしょうか...