何かとせわしない師走ですが、年内にやるべきことを後回しにして、とりあえずiPad版電子コミック【Wings ウイングス】の本編12ページ目を制作中。
「何かの間違いで囚人みたいに独房に入れられてるけど、すぐに釈放されるさ」とたかをくくっていたレナです。ところが一週間くらい経っても、うんともすんとも無し。「どうなっちゃってんの、いったい!」というシーン。
ベッドに仰向けに寝て、膝を立てて足を組んだポーズです。そのままレンダリングすると立体感が乏しいので、パースをやや強めにかけました。
その結果、組んだ膝が3D立体視風にこちらにちょっとせり出しぎみで良い感じ。
レナの身長は165cmという設定です。ところが寝そべると、やけに長身に見えてしまうんですよね。
上の画像では足を組んでいるのでそれほどでもないけど、足を伸ばすとなぜか180cmくらいに見えてしまうときがあります。逆に立ち姿では、足が短く見えて思うようにいかなかったりします。
手描きの画の場合は、そのあたりのバランスを描きながら適当に調節できますが、3DCGでは丁度良い具合に修正するのにけっこう手間がかかります。
でもキャラの特徴に直結するポイントなので、見過ごすわけにはいかないんですよね。
ところで話は変わりますが、私の仕事机の横には数冊の読みかけの本があります。その中で最近よく手に取る一冊が、【奇想の江戸挿絵】という本。
江戸後期の黄表紙や読本(よみほん)に描かれた挿絵の中から選りすぐりの100点を集め、解説をつけたものです。
この本をパラパラとめくると、北斎や豊国ら浮世絵師の(そして曲亭馬琴ら戯作者の)、自由奔放な発想や時空を超えた描画力と共に、その当時のクリエイター達の表現に対する熱い欲求がページから立ち上ってきます。
そしてコマ割りこそありませんが、現代マンガの手法が随所に見られ、線画マンガの核の部分はほぼこの時代に出来上がったといっても過言ではないように思います。
たとえば集中線のような表現を使って、登場人物をビカビカビカッと発光させて、読者に「おおっ!」と目を瞠らせたりする手法などは、今でもマンガ家が普通に使っている技ですよね。
今から二百年くらい前に、すでに北斎達が物語を表現する画として、このような動きのある静止画を描いていた。
そしてその後、大幅な画法の変更もなく数々の絵師・マンガ家によって連綿と描き続けられてきた線画によるマンガ表現。
この表現法が、物語を表す上でいかに読者にとって魅力的なものであるか、しかもこれ以上変化しようがないほど完成されたものであるか、ということを改めて思い知らされました。
さて、現在私が制作中のマルチメディア(静止画、文字、アニメ、音声、サウンド、インタラクティブな仕掛け)による電子コミックは、自分の持ち味を最も活かせる表現法として楽しく描いています。といっても制作途中の中途半端なものばかりですが。
紙に印刷するマンガ本の時代から → 電子コミックへという流れの中で、この二百年以上も続いた完成されたマンガの手法が変化するのでしょうか?
電子コミックになっても、北斎・馬琴の時代と変わらない静止画と文字による表現が受け継がれていくのでしょうか?
私としては、カンブリア紀の生物進化の大実験のように、いろいろな作家が「この表現法がおもしろい!」とか「いや、この描き方こそ電子コミックに最適!」というように試行錯誤の時期を経て、最も魅力的な電子コミックの形に落ち着いてほしいと思ってます。
その結果、「やっぱりマンガは昔ながらの静止画と文字が一番だよね!」ということになれば、それはそれですばらしいことではないでしょうか。
今日のブログは、途中からテンションがあがってきて、最後は思いのたけをぶつけたような気分。
江戸挿絵のせい?
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