ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 58ページ目 マジシャンソムリエとの対決  

2012-03-04 23:33:46 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【58ページ】

 高木は、いつも飲んでいるシャブリとの違いに戸惑った。


「高木社長は、シャブリでもグラン・クリュやプルミエ・クリュを飲む機会が

多いでしょう?」

「ああ、そうだが。」

「軽やかで、若々しい酸味が感じるのは、アルコール度数の違いなのです。」

「アルコール度数の違い?」


 高木は、思わず聞き返した。


「シャブリ・グラン・クリュのアルコール度数は、11度。プルミエ・クリュは

10.5度。シャブリは10度です。そしてこのプティ・シャブリは9.5度なの

です。」

「シャブリ・グラン・クリュとは1.5度もの差があるのだね!」


 高木は、マジソムからプティ・シャブリのアルコール度数の説明を受けた後、

もう一口飲んだ。


「おや?」


 高木は、マジソムの顔を見た。


「若々しい酸味が濃厚な甘みに変わった! マジックを使った?」


 マジソムは、にこやかに微笑んでいるだけであった。


「グラスは、私の目の前にあり、手に持ったのも私だけだ!

マジックはできないはずだ!」

「高木社長、マスターに依頼された件ですが、お受けさせて頂きます。

お客様へのサーブがありますので、詳しいことについては、閉店後でもよろしい

ですか?」