ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 67ページ目 マジシャンソムリエとの対決  

2012-03-15 23:06:57 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【67ページ】


 和音は、グラスにブーグロが注がれるの眺めていた。

狩野は、高木社長にもブーグロを注いだ。


「和音さん、どうぞ!」と狩野が言った。


 和音は、ワイングラスを手に取り、香りを嗅いだ。

そして怪訝そうな表情を見せ、シャブリ・グラン・クリュのブーグロを一口飲んだ。


「お見事! このワインは、ひざまづいて飲まないといけないかな?」


 和音の言葉に、高木社長は驚いた。マジソムの狩野にマジックを任しているが、内容

については聞いていないのだ。


「『帽子を脱いで、ひざまづいて飲め』は、ブルゴーニュの白ワインの最高峰

モンラッシェを称える言葉ですね? このワインがブーグロではなくモンラッシェ

だと?」


 高木社長もグラスを手に取り、一口含んだ。


「これはモンラッシェだ! 狩野さん、マジックでブーグロをモンラッシェに替えた

のか?」


 狩野はうなずいた。


「モンラッシェは、フランスワインの至宝でとてもおいしい! しかしシャブリの

グラン・クリュ7種の飲み比べとお聞きしていたので、ブーグロが飲みたいなあ。」


 高木社長は、困った顔をして狩野を見た。


「和音さんのご要望承知しました。」


マジソムの狩野は、再びハンカチを取り出し、先程のハンカチに覆われている

ワインのボトルにかけた。