ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 77ページ目 マジシャンソムリエとの対決  

2012-03-28 22:54:52 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【77ページ】


「最初にテーブルに置かれていたブランショは『ミルク』だったから、

ハンカチを取り払えば当然『ミルク』でしょう。」


高木社長は、自信を持って言った。


「和さんもそう思うでしょう?」

「ええ、私が考えていたのは、『ミルク』と『水』の違いです。」

「それで、その違いが判りましたか?」


狩野が聞いた。


「『ミルク』のミルは、物を見るの『見る』では?」

「では、『水』は?」

「『水』は物を見ないの『見ず』だと思います。我々から見えるブランショは

『見るク』で、どこかのレストランで、誰かが飲んでいるブランショは我々から

見ることができないので『見ず』です。」


和音は、自分の推理を述べた。


「その通りです。 ハンカチを取り払うと、和音さんと高木社長から見ることが

できるので『ミルク』になります。」


狩野は、テーブルに近づき、ハンカチに手を添えた。


「このハンカチを取り払うとブランショがミルクになりますが、ミルクを飲みますか?」


「ええ? 本当にミルクになるの? どうします?」


高木が、和音に聞いた。


「狩野さんのマジックを見たい気がしますが、ミルクを飲むのはどうも・・・・」