ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 78ページ目 マジシャンソムリエとの対決  

2012-03-29 23:23:29 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【78ページ】


「私も和さんの意見に賛成です。」


高木は、うなずきながら言った。


「それでは、ミルクではなくブランショを飲みましょう。」


狩野は、さっとハンカチを取り払った。


「おっ!」


高木が感嘆の声を発した。


「ミルクだ!」


ブランショのラベルがミルクのラベルに替わっていた。


「和音さんと高木社長が、ミルクよりシャブリ・グラン・クリュのブランショを

お望みだったので、ラベルだけミルクに替えました。ご安心ください、中身は

ブランショのままです。」


「我々が、ミルクを希望したら、中身もミルクに替わっていた?」


和音が、狩野に訊ねた。


「マジックは、相手との心理戦でもあるのです。できることもあれば、

できると見せかける場合もあるのです。」


狩野は、ミルクに替えることができたかどうか、曖昧に答えた。

そして、ブランショを抜栓し、二人の為にグラスに注いだ。


「和音さん、どうぞ!」

「おっ、正真正銘のブランショだ!」


「高木社長もどうぞ!」