ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 15ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日 

2011-12-22 21:11:21 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【15ページ】


「オー、クセボン!」シュヴァリエは感嘆の声をあげた。

「今まで飲んだシャトー・ディケムの中でも最高のおいしさだ!

フルボディで洗練されており、とてもフレッシュで溌剌(はつらつ)としている。

信じられないほど活き活きとした純粋さがあり、まるでダイヤモンドのようである。」

「さすが、天才ソムリエですね?このワインをダイヤモンドと表現しますか?」

和音は、少し皮肉を込めて言った。

「私には、まるで黄金(おうごん)の雫ぐらいしか表現できませんね。」


「和さん、このシャトー・ディケムのヴィンテージ判りますか?

テイスティング対決ではないので、シュヴァリエに答えてもらってもいいですが。」

ルヴォル大使は、和音がヴィンテージを見抜いたかどうか試そうとした。

しかし和音は、それには直接答えなかった。

「シュヴァリエのテイスティングコメントを聞いて、彼の天才的な才能に驕(おごる)

らなければ、世界最優秀ソムリエになることができると思いました。」

「和音さん、私のコメントに対して何か不満があるようですね?

しかし、ルヴォル大使は、ヴィンテージのことを訊ねているので、まずそれに答えて

ください!」

シュヴァリエは、イラつき、強い口調で言った。

「シュヴァリエ、和音さんは君にアドバイスをしながらヴィンテージも答えているよ!」

「え、いつ?」

「シュヴァリエがヴィンテージを答えるとすれば2,005年では?」



※シュヴァリエのテイスティングコメントは、ネット通販のシャトー・ディケム

2005年のコメントを引用しています。