ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 10ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日

2011-12-17 20:17:56 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【10ページ】


 シュヴァリエが帰ると、ルヴォル大使は、専属ソムリエのラプリュイを呼んだ。

「頼んでいたワインを揃えることができたかね?」

「はい、こちらに持って来ましょうか?」

「そうしてくれないか?」

 
 専属ソムリエのラプリュイは、別室に下がり、2本のワインを持って戻って来た。

「こちらが、ご依頼のシャトー・ムートン・ロートシルトです。」

ラプリュイは、それらをルヴォル大使に見せた後、テーブルに置いた。

「シャトー・ムートン・ロートシルトは、メドック格付け1級の五大シャトーの一つ

で、味わいがすばらしいのは、もちろんだが・・・。」

ルヴォル大使は、2本のシャトー・ムートン・ロートシルトを交互に手に取りながら、

ラベルを感心しながら見ていた。

「このラベル、有名な芸術家の絵のラベルも魅力的で、大人気なのだ!」

「はい、特にこの1970年はマルク・シャガール、1973年はパブロ・ピカソ

の絵で、今では入手困難なワインになっています。」

「よく揃えてくれた!このワインならシュヴァリエも和音さんも喜ぶだろう。」


 そして、ルヴォル大使が、バッグからシートを取り出した。

「ところで頼みがあるのだが。」

「何でしょうか?」

「このシートは何だか判るかね?」

「これはワインラベルコレクション用のラベル剥がし用のシートです。」