ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 13ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日

2011-12-20 21:30:41 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【13ページ】


 和音は、グラスに入った貴腐ワインを一口含んだ。

「とろけるハチミツのように甘くて、とてもおいしいワインだ!」

シュヴァリエも貴腐ワインを一口飲んだ。そして、和音に対して挑戦的な言葉を

投げかけた。

「それは、このワインに対して失礼な表現だ!」

「どうしてでしょうか?」和音が理由を訊ねると、

「例えば、ミス・インターナショナル世界大会のグランプリの女性に、『あなたは、

女優のように美しい』というのと同じだ!」

和音は、シュヴァリエからするどい指摘を受けた。

「しかし、貴腐菌がついて、腐敗してしまったように見える干しぶどう状態のブドウ

をミス・インターナショナルのグランプリに例えるのはもっと失礼では?」

和音は、微笑みながら切りかえした。

「そ、それは・・・・。」

シュヴァリエは、和音の思わぬ反論に戸惑い、言葉に詰まった。

「私は、貴腐菌がついて干からびたブドウをミス・インターナショナルのグランプリ

に例えたのではない!」

そう言って、シュバリエは、和音を睨みつけた。

「私は、フランスソーテルヌの宝、世界最高峰の貴腐ワインであるシャトー・ディケム

に対して例えたのだ!」


 二人のやり取りを聞いていたルヴォル大使は、シャトー・ディケムを飲み干した。