ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 9ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日 

2011-12-16 21:01:43 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【9ページ】


 シュヴァリエは、トップソムリエも敵わないという言葉に反応した。

「トップソムリエも敵わない? 私は、和音というソムリエの名前も噂も聞いたことが

ありませんが。」

「彼は、ソムリエではないのです。」

「ワイン評論家? うーん、でも評論家の中でそんな人物はいない!」

「彼は、評論家でもないよ!」ルヴォル大使はそう答えた。

「彼は、ボルドーのシャトーやブルゴーニュのドメーヌのオーナーとも親交があり、

 ワインの出来栄えのテイスティングをしているそうだ!」

「彼らが、ワインのテイスティングを頼んでいるのですか?」

「テイスティングを頼むといっても、1週間ほど、自宅に招待して、食事とワイン

を一緒に楽しむそうだ。そして和音さんの『おいしいワインだ!』という言葉を

聞くだけで皆満足するそうだよ。」

シュヴァリエは、「おいしいワインだ!」という言葉だけで、なぜ満足するのか理解

できなかった。

「さて、今日来てもらった用件だが、私のプライベートワイン会で、その和音さんと

テイスティング対決をやってもらいたいのだ。」

「ぜひ、お願いします。」シュヴァリエは、和音の実力を試すチャンスだと思った。

「テイスティング対決用のワインは、私が選びます。そして二人の公正な対決のため、

ワイン名は、当日までふせておきます。」

「承知しました。」