ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 16ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日 

2011-12-23 20:46:00 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【16ページ】


「私が指名されれば、2,005年と答えていました。」

シュヴァリエは、不思議そうな顔を大使に向けて、聞いた。

「和音さんは、いつ、どのようにしてヴィンテージを答えたのでしょう?」

「驕るという意味は判るかね?」ルヴォル大使は、シュヴァリエに尋ねた。

「おごりたかぶる、思い上がるという意味だと思います。」

「そうだね? しかし意味ではなく、おごるの『お』と『ご』の発音がキーなのだ!」

「パリ・デュ・パリ東京店の出店が決まってから、日本語の勉強をやっていますが、

ルヴォル大使の言っていることがまだ理解できません。」

「映画の007は日本語でダブルオーセブンと発音される。」大使は、シュヴァリエに

ヒントを投げかけた。

「オーは0のことですか?」

「そうだ! そして数字の1、2、3、4、5はイチ、ニー、サン、シー、ゴと

発音される。」

「すると驕るの『ご』は5のことになる。合わせると05すなわち2,005年の

ヴィンテージを示唆していると?」

「和さん、そういうことだね?」

「それは、ご想像にお任せします。」和音は、にこやかに笑いながら、曖昧に答えた。

「おや?」シュヴァリエは、ひと言発した後、考え込む仕草をした。

「シャトー・ディケムに対してよく使われる『まるで黄金の雫も』・・・・。」

「シュヴァリエ、黄金の雫がどうしたのだ?」