さて、他のにかまけて返却日間近だったのよ第704回は、
タイトル:柘榴熱
著者:宇佐美游
出版社:実業之日本社(初版:H17)
であります。
約50回ほど前に読んだ「玉の輿同盟」がなかなかよかったので、お初に手を出すよりは安心かなと言うことでチョイス。
野瀬光希は、優しくそれなりに資産のある家の息子である悠一と結婚し、主婦業を務めていたが、悠一のジャカルタ派遣について行き、帰ってきてから、主婦業だけの生活に嫌気が差して小さな出版社の契約社員となる。
しかし、セクハラが当たり前の会社ですでに30を超えた光希は、ことあるごとに嫌みを言われ続ける日々だった。
そんな光希に、思いがけず会社でアルバイトをしていた年下の市村が思いを寄せてくる。
年齢から、もうこんなことはないと思い、付き合いを始めてしまう。
履歴書に未婚と書いた嘘、悠一への嘘、市村への嘘を重ねて続ける不倫。
それを話せるのは友人の伊都子、多香実のタイプの違うふたりだけ。
だが、甘い蜜月はそう長くは続かない。会社の同僚たちと同じように次第に言葉で光希に攻撃する市村。それでも離れられない光希は、いつバレるのかと言う不安や、逃れられない思い、悠一への裏切りなどから次第に……。
前は女性4人組の赤裸々な人間関係を描いたものだったが、今回は野瀬光希と言うひとりの女性に焦点を当てている。
ストーリーは、女は、男に負けるもの……そんなふうに言い聞かされ、育てられた光希が持つ、負けて当然という根底の意識と自立願望が、会社での出来事や市村との不倫などに形を変えて光希を翻弄する姿がじっくりと語られている。
「玉の輿同盟」では人間関係を軸に各キャラの赤裸々な姿が描かれていたが、これも光希中心ではあるが、やはりひとりの女性の姿が直接的に描かれており、興味深い。
文章は光希ひとりを中心にしているぶん、前みたいに誰が何を喋ってるのかわからない、なんてことはない。
だが、逆にひとりだけというのは中盤以降、変化に乏しい分、冗長に感じることが往々にしてある。
雰囲気も、光希の根底にある相反する意識と不倫生活の嘘と不安など、重いほうなので、冗長さに拍車をかけている。
全体的には概ねおもしろく読めたが、冗長な部分が続くところはやはりマイナス。
……つか、「ええいっ、とっとと腹ぁくくらんかいっ!」と、ちょっとばかしイラっと来るところがあったり……(笑)
総評としては及第だが、楽しさと言う点では「玉の輿同盟」のほうが上。
悪いとは言わないが、良品とまでは言えないか。
タイトル:柘榴熱
著者:宇佐美游
出版社:実業之日本社(初版:H17)
であります。
約50回ほど前に読んだ「玉の輿同盟」がなかなかよかったので、お初に手を出すよりは安心かなと言うことでチョイス。
野瀬光希は、優しくそれなりに資産のある家の息子である悠一と結婚し、主婦業を務めていたが、悠一のジャカルタ派遣について行き、帰ってきてから、主婦業だけの生活に嫌気が差して小さな出版社の契約社員となる。
しかし、セクハラが当たり前の会社ですでに30を超えた光希は、ことあるごとに嫌みを言われ続ける日々だった。
そんな光希に、思いがけず会社でアルバイトをしていた年下の市村が思いを寄せてくる。
年齢から、もうこんなことはないと思い、付き合いを始めてしまう。
履歴書に未婚と書いた嘘、悠一への嘘、市村への嘘を重ねて続ける不倫。
それを話せるのは友人の伊都子、多香実のタイプの違うふたりだけ。
だが、甘い蜜月はそう長くは続かない。会社の同僚たちと同じように次第に言葉で光希に攻撃する市村。それでも離れられない光希は、いつバレるのかと言う不安や、逃れられない思い、悠一への裏切りなどから次第に……。
前は女性4人組の赤裸々な人間関係を描いたものだったが、今回は野瀬光希と言うひとりの女性に焦点を当てている。
ストーリーは、女は、男に負けるもの……そんなふうに言い聞かされ、育てられた光希が持つ、負けて当然という根底の意識と自立願望が、会社での出来事や市村との不倫などに形を変えて光希を翻弄する姿がじっくりと語られている。
「玉の輿同盟」では人間関係を軸に各キャラの赤裸々な姿が描かれていたが、これも光希中心ではあるが、やはりひとりの女性の姿が直接的に描かれており、興味深い。
文章は光希ひとりを中心にしているぶん、前みたいに誰が何を喋ってるのかわからない、なんてことはない。
だが、逆にひとりだけというのは中盤以降、変化に乏しい分、冗長に感じることが往々にしてある。
雰囲気も、光希の根底にある相反する意識と不倫生活の嘘と不安など、重いほうなので、冗長さに拍車をかけている。
全体的には概ねおもしろく読めたが、冗長な部分が続くところはやはりマイナス。
……つか、「ええいっ、とっとと腹ぁくくらんかいっ!」と、ちょっとばかしイラっと来るところがあったり……(笑)
総評としては及第だが、楽しさと言う点では「玉の輿同盟」のほうが上。
悪いとは言わないが、良品とまでは言えないか。