この流行語を知っていますか?
「お父ちゃんのためなら、えんやこら。」
古い記憶をたどると、我が家のテレビは小学校2年くらいまで、白黒でした。トイレは和式。家は、風呂なし10畳一間だけの平屋で、縁側がありました。ご宝前に頭を向けて、家族四人が川の字になって寝ていました。せまかったけど、楽しかったことしか思い出せません。
そんな時代に流行ったコトバで、出典は、昭和41年にリリースされた美輪明宏さんの楽曲「ヨイトマケの歌」の一節です。
お寺の中で婦人会がご奉公に汗をながしながら、「ご法様のためなら、えんやこーら。」と、笑いながら楽しそうに口ずさんでいたのを、いまでも鮮明に覚えています。
このパターンですから、いくらでも応用がきくわけで、「お導師のためなら~」「ご奉公のためなら~」と口ずさんでは、みなさん本当に楽しそうでした。
ただ、当時まだ4~5歳だった私は、この言葉がどこからきたものなのか、考えることすらなかったワケです。そして流行語ですから、やがてだれも口にしなくなっていくのですが、それでも、小学校低学年くらいまでは、だれかが口ずさんでいたかと記憶しています。「古いんだよ」とツッコまれながら……。
2年くらい前でしょうか?テレビで美輪さんのドキュメント番組を見ました。ここで初めて、「おとうちゃんのためならエンヤコラ」の出典と意味を知りました。これを口ずさむのが当たり前の景色だったころから数えて、40年の月日が過ぎていました。
ご教歌
うれしさをつゝむ恋路にあらざれば みのりのために人にかたらむ
大意
ご法様からいただいた喜びは、心に秘めずに表現する。姿形に表すことがご弘通になるのです。すなわち、人に伝える随喜転教の大事なことをお教えの御教歌です。
先述の通り、「そんなこと分かっているだろう?」では、数十年もの間、「実は知らなかった」ということが、あるものだということです。
しっかりと伝える。分かっているだろう?ではなく、確実に教え伝えようと、親切心をおこしていく。
「そんなことも知らないのか?」は禁句です。
御指南
聴門する所は自が斗の喜び也。
之を転々して人に教え聞かしむるは人を喜ばしむる也。
我が喜びは智眼を開き人を喜ばすは慈悲也。
ましてや、喜びを伝えていくご奉公は、絶え間なく続けることが大事となりましょう。一緒の時間を過ごし、喜びや悲しみ、苦楽を共に分かち合いたいものです。
ご信心のしかた。心の持ちよう。
これらを、「知っているだろう?」で済まさないように。。。