3月25日。
次男の卒業式が挙行されました。4月2日から、中学生になります。
当日はお総講がありましたので、終了後に後片付けを済ませてから、
歩いて稲田小学校に向かいました。
小学校の正門近くで信号待ちをしていますと、
校庭で行われている式典のアナウンスが聞こえてきました。
その放送を聞いているだけで、
あたたかな雰囲気の式典であることが想像できました。
正門の方に目をやると、どこかの男の子が、1人で歩いてくるのが見えました。
制服を着ています。近くの中学生だなと思いました。
この男の子が、ゆっくりゆっくり歩きながら、
校庭での卒業式典の様子をながめておりました。
微笑ましいような感じで、校内の様子をみているようでした。
信号が青になりましたので、横断歩道を渡りました。
ほどなく、その男の子とすれ違うことになるのですが、
近づくとダウン症の疾患を持つ子だと気づきました。
ダウン症候群。
染色体の異常による、先天性の疾患で、様々な発育障害がおこるようです。
ソバに近づくと、この男の子が、なにやら歌を歌っているのがわかりました。
なんと、仰げば尊しを歌っておりました。
「仰げば尊しぃ~ わが師の恩~。教えの庭にもぉ~ はやぁ~ 幾年ぇ~。」
こんな感じで、大きくもなく、小さくもない声量で、
きれいな歌声で歌っていました。
人は、見聞きした物事に対して、直感的に湧いてくる感情を、
無意識に何かの形で表現するのでしょうが、
この男の子は下校途中に一人で、
通学路にある小学校が、たまたま卒業式をしていて、
その様子をみて、何を思ったのでしょうか?
仰げば尊しを歌ったのは、卒業式に対するイメージからきたものなのでしょうか?
それとも、歌詞の意味を知っていて歌ったのでしょうか?
卒業式といえば仰げば尊しでしょう!と、イメージでとらえていたとしても、
見聞きしていた私に、大きな感銘を与えたのは間違えありません。
校庭に着くと、大勢の仲間と共に過ごす、幸せそうなわが子の姿を見つけました。
すでに、お世話になった先生方や職員のみなさんとのごあいさつは、
一通り済んだようでした。
お礼を申し上げるとき、
頭を下げずに挨拶だけするなどどいう姿は想像したくありません。
果たして、きちんとご挨拶ができたでしょうか?
彼はまもなく、中学生になります。
恩を知り、礼儀をわきまえ、慈しみを具えた人となってほしいものです。