地震発生から3週間が過ぎた4月3日、御会式出座のため、飛行機でサッポロ信廣寺へ向かった。
飛行機に搭乗するときはいつも、飛行経路を調べて、機窓からどんな景色がみえるかを予想している。
たとえば大阪伊丹に行く場合、海岸沿いを飛ぶ場合は進行方向右側の席が当たりである。フライト間もなく湘南のビーチが見え、鎌倉・顕証寺も、その全景をみることができる。そして、愛知県の知多半島も、地図で見るのと同じくその形をクッキリと確認することができる。実に楽しい瞬間だ。
山間部を飛ぶ時は左側の機窓から、ボクの未踏の地である「富士山頂」をナマで見れる。裾野まで含めたその景色は、実に雄大でとてもキレイだ。冬は雪化粧となり、これがまた実に素晴らしい。飛行機搭乗時の大きな楽しみである。
しかしどちらの航路かは、その時にならないと分からないハズなので、大抵は海岸線の航路とふんで、右側の席を予約することが多い。
そんな要領で、今回は被災地を上空から見れればと期待した。海岸線を飛ぶならば左側の機窓・A席を予約するべきである。念のため、往復ともにA席を予約した。行きがダメなら帰りにと思ったのである。
はたして結果は。往路は残念ながら山間部の中通りを飛んだ。復路は、機窓から海岸線が見えた。しかし、左側の席に座っているので、三陸の太平洋沿岸のハズがない。予想を大きく外して、日本海側の沿岸を飛んだのである。まあ、わざわざ原発の上空を飛ぶワケないとは思っていた。
おもえば飛行機に乗る時はいつも、妄想モードに突入している。雲しかみえない時には、恩師が15歳で志願して入隊した予科練生になったつもりになる。敵機来襲に備えながらの飛行はどんな気分かと、かつて師匠が体験された感覚をバーチャルだが体感したいのである。そして、ご覧になった景色はこんな感じだったか?と、思いを馳せつつ妄想をしている。
地震発生後、気持ちはずっと被災地に飛んでいた。何かしたい。4月18日にはいよいよ、念願の被災地入りするコトが、搭乗時には決まっていた。サッポロ行きの飛行機なのに、まるでこれから東北へ赴くのと錯覚したような感じがあった。
早く行きたい。現地の人々はどんな苦しみの中で生活しているのだろう?ボクは現地で、何ができるだろう?今回はそんな妄想をしつつサッポロ千歳に到着して、頭を現実に切り替えたなぁと思い返した。