ご教歌 さきのよの果報はうけぬ今生の 修福は後の手まはしにして
大 意 コツコツと、功徳をつむ毎日を送ること。それが、いまと未来にむけて、ご利益をいただくもと。運命に左右されず、淡々と進むこと。
いま、嬉しいことがある。あるいは悲しいことがある。人生の中で喜怒哀楽はつきものです。そしてそれら、自分の身におこる出来事すべては、過去世において、自分自身がまいてきた種による結果だと教わります。「よいことをしたから、その報いをうけた。」「わるいことをしたから、バチが当たった。」など、一つのアクションだけでなく、無数の行いが重なって、先々の運命がつくられていくようです。
いま、幸せですか?それは、過去によい行いを積み重ねてきた結果です。しかし、「なんで、こんな苦しい思いをしなければならないんだろう。」というご縁も、決して少なくありません。そんなとき、過去世のご因縁だから仕方がないで済ますことはできません。なんとか解決の糸口をみつけようとすることでしょう。
そんな時、どうぞ、みみを澄ませて聞いてください。
「お寺にお参りして、お題目をお唱えする。」すると、「自分にそなわった、マイナスのご縁」=罪障(ざい・しょう)というものが消えていくと教わります。罪障が消えると、ご縁がひらけます。今日から先の生活で、いままでだったらこんなスムーズに行かなかったのに?ということがスムーズにいくようになり、こんなに苦しかったのにということが、苦しみから解放されたり、いままで憎しみ合ってたのが、いたわり合う関係にかわったり、不思議なご縁が訪れるというのです。
ご信心には、そういう、ありがたい効果がある。だから、お参りをしてみよう。きっといいことがあります。そして、このご教歌では、いままでの運命をどうこう云うのではなく、いま、毎日を、コツコツと功徳を積むことが大事である。そうすることによって、未来に道が開けるとお示しです。よい時でもご信心をわすれず、大変な時でもご信心を忘れずに歩んで行くこと。つらい人などは、くよくよせず、ご信心を軸にして、いまをしっかり歩んでいくことが大切なんだとお諭しいただくのです。
ご指南
ご利益を蒙るに顕冥の二つあり、かげより守り給ふを冥の御利益と申す。其冥とは、やどがえした後に火事になり、賊のさりたる後に其山道を通り、舟にのりたしと思へど、のりおくれて滞留して、延日を心になげけども、其日出でたる舟は、われて、のりおくれたるが仕合せとなり、病ありし故に宿善の薫じて、此大法にあひ、未来永き悪道におつるをのがるるなど、これをふしぎの御守り冥益とは申すなり。
顕益といふは、あらわれていかにも御利益と思ひしらるるを顕益といふ。それは願のままに忽ち成就することなり。