「王子の話題をしたのは、
俺たちが地下で合流したときじゃなかったか。
あおむは知らないはずだぞ」
木太郎がいうと、
エイタといつきも、
そのような気がしてきた。
すると、
「あー、てめえ、あおむ。
実は俺を本当は疑っていたんだろう」と、
あおむの頭を叩く。
「うー、バレただすか」
あおむはあっさり白状する。
「木太郎さんがハナクソ王子と聞いて、
ピンときたんだすよ。
だすが、
どうも違うようだすし、
そのことは、
エイタさんといつきさんも知ってるだすから、
もしかしたらと思っただす。
それにだすな」
と言いかけて、
あおむは、
エイタといつきにも睨まれて黙り込む。
「それに、何だ」
木太郎があおむの頭を叩く。
「悪かっただすよ。
少し疑って、
あそこの二人も怪しいだすから、
余計なことを話して、
万一のとき、
消されるのがイヤだったんだすよ」
「万一?」
「木太郎、
俺たちに犯人がいた場合で、
しかも、
チウメかアユメが共犯だった場合、
あおむが余計なことをしゃべることにより、
自分が犯人だと、
他の誰かにバレることを怖れた犯人が、
あおむを殺すんじゃないか
ということだろう」
と
エイタがあおむの言いたいことを説明する。
「いずれにしろ、
あおむは俺たちを完全には信用していない
ということだな」
いつきが、
しょうがないという顔で言う。
「いいか、あおむ。
全部、話せ。
あおむは強いんだから、
俺たちの中に誰か犯人が万一いても、
全員じゃないんだから、
大丈夫さ」
と
エイタが言うと、
「それもそうだすがな...」
と途中まで言って
あおむは黙り込んだ。
(続く)