新「ミケーレの蒼き仮面」第五章186
「どうする? ねずみ虫?」
「しょうがないだろ。
全然、サギー親分のニオイもパティ様のニオイも、
あの青臭いカマキリ鳥のニオイもしないんだから見つけようがないだろ」
「だけどな。
ウトー様たちはおやさしいから、いいけど、
あの小判女が本性を出して怒り出すんじゃないか?
理屈の上では、この世界のどこかに、親分たちがいるはずだから。
俺は小判女が怖いんだよ」
「その話しはするなって。
まず、
ウトー様とアニー様に土下座して、
お許しをいただければ、
あの小判女だって本性は出さないんじゃないか?」
「なら、いいんだけど、
カマキリ鳥がからんでいるし、最近、妙におとなしいから怖いんだよ。
特に、口は達者だから、本性を出さなくても、
ウトー様たちだけでなく、ラーメン様たちを口でいいくるめて、
俺たちが怠けていたように言うんじゃないか。
そっちの方も怖いぞ」
「サギー親分がいれば小判女の本性も知っているから、
どうにかなるけど、みんな知らないからな」
「じゃあ、多分、無駄だと思うが、もうちょい、探すか」
「だな。で、ぺー様あたりが応援に来てくれれば、
本当のことを話せばいいからな」
それなりに頑張って探したものの、
その世界のどこかにいるはずのサギーたちを見つけられなかった亀男とねずみ虫は、
元四天王の中で実はもっとも凶暴な小判女を怖れ、そんな話しをしていたのだった。
(続く)