「もう、本当にマヌケな奴だな」
「危なかっただすなあ。
だば、
ミカエルの狙いは、
木太郎さんだっただすよ。
アユメちゃんもチウメちゃん
も狙われていなかっただす。
あの二人だったら、
危なかっただすなあ」
「いいか。
この話しは後で、
エイタにこそっと話すから、
あの二人には内緒にしよう。
おそらく、
あの二人はやっぱり共犯だ!」
「そうだすよなあ、
で、
木太郎さんはどうするだすか」
「よし、ちゃんとチャックを戻して、
一緒に連れて行ってリヤカーの上に、
寝かせておこう」
「それしかないだすよなあ」
「あおむ、いつきよくやった。
でも、木太郎はどうした?」
と、
エイタが、
木太郎をおんぶして戻ってきたいつきに訊いた。
「転んだ拍子に頭を打ったようだが、
たいしたことないだろう」
いつきはマヌケな話しなので、
エイタにも正直には言わなかった。
「それにしても、
あのミカエルどこから来たんじゃろうか?
わしが話すと、
よくミカエルが出てくるのう?」
キタジマがそう話したとき、
「そうだす!」
あおむはそう言うと、
エイタに何か囁いた。
「いつき!
あおむと一緒にキタジマさんの身体
をよく調べてくれないか!」
あおむの意見に、
エイタも賛成だったので、
エイタはそう言った。
「何かあるのかのう?
くすぐったいのう?」
しかし、
キタジマの身体からは何も見つからなかった。
そのとき、
いつきが、
キタジマの耳元で何か囁いた。
「おー、それは勘弁じゃ」
と、
キタジマは言ったが、
いつきとあおむは、
キタジマをどこかに連れて行ったのだった。
(続く)