レイジーなガキ

小説、コミカルミステリー?下品なので要注意。カミサン伝説研究中。真面目に読んでも考えてもまして怒ってはいけません。

「棺のある部屋へ2」

2008-10-31 20:02:11 | 小説
「棺のある部屋へ2」

 「エイタ、やっぱりって、どういうことさ?」
いつきが訊くと、
 「いや、こんなところで、
点滴だけで生きているとは思えなかったんだ、
それだけだよ」エイタは率直に答える。
 「それより、怖いのは2つ目と3つ目だよ。
いつき、永久を見たっていってたじゃないか」
エイタは言う。
 「いや、でも、これが人形だから、
永久だと思ったのも間違いかもしれないよ。
俺、そんなに目はよくないんだ。
眼鏡が似合わないし、
コンタクトはめんどくさいから、
裸眼のままなんだ」
いつきはぎょろっとした目をぱちくりさせて、
真顔で言う。
 「オタク、それを早く言えよ。
だから、生米を生きたまま
埋めたんじゃないのか」
エイタがそういうと、
 「そうかもしれし、
そうじゃないかもしれない。」
と訳のわからないことを言う。
 「さあ、こうなったら、確認しよう」
エイタの言葉にいつきも
 「わかった。」
と頷く。
(続く)
 

「深夜の訪問者」

2008-10-31 19:59:38 | 小説
「深夜の訪問者」

 トントン、トントン
 「夜分こんな時間に、すんません」
 玄関で大きな声だがマヌケそうな声がする。
 「誰よこんな時間に、先生、
悪いけど見てきてくださる。
マヌケそうな声を出すくらいだから、
殺人鬼じゃないわよ」
 ヒトミはタヨウにそう命令する。
 「わかりました」タヨウもその声で、
あまり不安はなかったので、玄関へ向かうと、
警戒することなく、扉を開ける。
 そこには、木太郎のように髪がぼさぼさで
鼻の穴が大きく、小汚いTシャツの上に
よれよれの格子模様の半袖シャツを羽織り、
何年も洗ってないようなジーンズ
と汚いスニーカーを履いて、
リュックサックを背負った、
小さな目に黄色いハナクソをのぞかせた
いかにもマヌケそうな中肉中背の高校生
くらいの少年と
コギレイなボタンダウンの黄色い半袖シャツに、
クリーム色のチノパンにしゃれたベルトを締め、
皮のライトブラウンの小綺麗なスニーカーを
履いた色白で目鼻立ちの整った
となりのブ男と同じくらいの年の背の高く
栗毛色のセミロングの髪型をした
美少年が疲れた顔でたっていた。
 「君たち、こんな時間にどうしたんだい」
タヨウが訊くと
 「すんません。コイツにそそのかされて、
心霊スポットを探しに来たら、
迷ったのであります」
とブ男の方がなにかマヌケそうな
言い方で美少年を指さして、そう言った。
美少年の方は、黙って、頭を下げた。
 「まあ、そんなところに突っ立てないで、
入りなさい」
タヨウはそういうと、二人を中に入れて、
ヒトミたちの前に連れていった。
 ブ男というよりキモ男の顔を見て、
アユメとチウメは思わず、木太郎を思いだし、
笑いをこらえるのに必死だった。
 ヒトミは二人を見ると
 「あーたたち、何やってんのこんな時間に、
それにしても小汚いブ男
と小綺麗な美少年の変なカップルね」
ヒトミは二人をじろじろと眺め回しながら、
そう言った。
 何を勘違いしたのか、美少年の方が、
 「ぼ、僕は男です」
とこれまたマヌケなことを言う。
 「見ればわかるわよ。
あーたたち、どこの学校?」
 「○立フギリ高校です」
二人は声を揃えて言う。
はっきりいってたいした高校でないことは、
タヨウたちにはわかっていた。
 「聞いたことのない学校ね。
おつむの方は大丈夫?」
ヒトミがずけずけと言うと、
ブ男の方が
 「はい、二人とも転んではいませんので、
大丈夫です」
とまたとんちんかんなことを言う。
 「まあ、いいわ、それで、名前は」
ヒトミはあきれ顔で訊くと、
 「はい、僕は寝岸(ねぎし)あおむといいます」
とブ男が答える。
 「僕は、即但(そくただ)オチタと申します」
と美少年が答える。
 「青虫とオチタ、変な名前ね」
とヒトミが言いかけると、
 あおむの方が、ムキになって
 「よく聞き間違えられますが、
あおむしではなくてあおむです」
と口をとがらせる。
 「あーた、へりくつを言うんじゃないの、
氏をつけたら、あおむしになるでしょ」
ヒトミが強引な切り返しをした上、
 「私に逆らうと、
この屋敷を出ていってもらいますよ」
と脅す。
 「すいません。青虫でよいです」
美少年がブ男の足を蹴った上で、
そう謝る。
 「なら、入れてあげるわよ。
最初から素直にはいと言えばいいのよ」
ヒトミは満足する。
 青虫とオチタの二人は、
ふーと息を吐くと、誰も勧めないのに、
その場のソファーに腰をかけた。
(続く)

「木太郎の決断」

2008-10-31 19:50:09 | 小説
「木太郎の決断」

 「早くせいな」
キタジマの再度の催促に、
木太郎は、
 「うーん、初志貫徹、右、
いや、その逆、左でいきます」
と答える。
 「じゃあ、木太郎、先に、
年寄りは足がおそいからのう」
とキタジマは木太郎を先にいかせる。
 「わ、わかりました」
木太郎はそういうと、付箋を貼り
ドアノブを回すと思い切り扉を前に開く。
ドアが開くと同時に照明がつく。
 「うあー」木太郎が腰を抜かす。
少しの異臭の中、前の空間には
干からびたミイラのような死体
が膝を抱えたまま、座っている。
 「はよ、閉めんか」
キタジマの声に木太郎は慌てて、
扉を閉める。
 「一人見つかったな?
はよう、付箋に書いておくんじゃ、
早くせいな」
キタジマは不安がることなく、
木太郎に命じる。
 木太郎は震える手で
付箋に死体1ミイラと書く。
 「どうしましょう?戻りましょうか?
やっぱり、危ないですよ。ここは。
永久もああなるのかなあ?」
木太郎は急に怯え出す。
(続く)

レイジー編「青虫とオチタ登場」

2008-10-31 01:02:44 | 小説
レイジー編「青虫とオチタ登場」

龍之介「やあ、久しぶり、Xデーも近いので、
君たちも登場させてあげたよ、
そうだな
S、オタクはオチタ、
Oは青虫でいいな」
オチタ「そんな変な名は」
龍之介「美少年だぞ、イケメンだぞ、
どうだ、それとも青虫の方がいいか」
オチタ「オチタで結構です」
青虫「ず、ずるいですよ。
なんでこの僕が青虫なんですよ、」
龍之介「イヤなら、
例の正体不明の死体の方がいいか?」
青虫「うーん」
オチタ「木太郎みたいに変な名だって目立つしさ、
タヨウも同じ感じだったけど
かっこよくなったんだから、
生きてる方にしておけよ」
青虫「うーん、これは多分罠だ」
龍之介「5,4,3,2,」
青虫「まいりました。青虫で結構です」
龍之介「よーし、では、これからは、
両方でがんばってくれ、じゃあ」
(続く)

いつき編「棺のある部屋へ」

2008-10-31 00:57:08 | 小説
いつき編「棺のある部屋へ」

 いつきとエイタは、最初の時と異なり、
すんなり、棺部屋にたどり着いた。
要所要所のドアには、倉庫でとった、
工具を挟み、扉が閉じない工夫もしてきた。
 キモ男三人衆と揶揄されてきたが、
この二人の組み合わせは、結構、
相性がいいようだ。
木太郎のように
変に理屈をこねる者がいないので、
単細胞だが、決めると行動の早いいつきを、
比較的冷静かつ頭のいいエイタ
がうまくコントロールできるようだ。
 「さあ、鉄格子の中に行きますか」
エイタが小声でそう言うと、
 いつきが大声で、生米勝負だ
と言いそうなところを、
エイタが自分の口に人差し指を当てて、
黙ってろとサインする。
 いつきのようなタイプには、
こういうやり方の方が、
コントロールしやすいようだ。
 鉄格子の扉の鍵はあいたままだ。
二人は手前の三つの棺を確認する。
やはり、空のままだ。
 次に、手と足が入っていた棺
をおそるおそる確認する。
やはり、バラバラの手足がある。
 次に美少年が眠っていた棺を見る、
やはり、そのままだ。しかし、エイタがその時、
不自然なことに気づいた。
右にある点滴が一見稼働しているように見えるが、
よく見ると、下に落ちた点滴が回りから
巧みに戻る仕掛けになっている。
 「どこかで、こういうおもちゃを見たな」
エイタはそうつぶやくと、
冷たくなって表面がやや曇っている
冷凍カプセル状の棺を開ける。
 「あっ、やっぱり」
エイタは小声で呟くと、
いつきが覗き込む。
 そこには、精巧に作られた人形が
横たわっていた。
(続く)

「深夜のリビング」

2008-10-30 22:25:42 | 小説
「深夜のリビング」 

 「おなかすいたわね、
こういうときキタジマがいればね」
ヒトミは実の子が死体
と一緒に監禁されるなど、
とてもそんな状況にはないような言い方をする。
 「いえ、私は」
 「私も」
 チウメ、アユメそれぞれ否定する。
 「そー、葬儀の時でも何でも
いただけれものはいただいておくのが先のためよ」
ヒトミは、そう言うと、自らキッチンへ行く。
 「ふー、やはりあのくらいの神経がない
と大金持ちにはなれないですね」
タヨウがあきれるでもなく、本音を言う。
 「私は、あーまでして、
お金持ちにはなりたくないわ」
アユメが言うと、
 「でも、アユメさんはもう充分お金持ちですよ。
私も家なんて...」と言いかけ、言葉を止める。
 「それにしても、わからないことだらけですね。
アスカちゃんや永久くんのことだけでなく、
半狂乱気味だった二人が戻ってきたり、
あのキタジマさんが消えたり、
木太郎くんも」
タヨウは疑問を投げかけたところへ、
 ヒトミが、一本そのまんまのロールケーキを持ってくる。
 「はしたないけど、
これなら、食器はいらないでしょ」
といいながら、封を開け食べ始める。
 「ここのは、結構おいしいですのよ。
夜は長いし、後で一つづつお持ちなさい」
 テーブルにおいた、ロールケーキ3本を指さす。
 「あ、ありがとうございます」
タヨウがお礼を言い、チウメとアユメも一応、頭を下げる。
 ヒトミはあっという間に一本を食べ終えると、
 「誰が最初に戻ってくるかしらね、
結構、ヒラメだったりして」
と楽観的なことを言う。
 「だといいですね」
タヨウが一応合わせる。
 「多分、隠し扉のように、
この下の地下室もパズルのような仕掛けで一杯なのよ。
誰が作ったかしらないけど、
前に消えたという3人も
きっと仕掛けを解けずに戻れなくなったのよ」
ヒトミの推測は合っているかもしれないが、
よく考えると怖いことなので、3人とも沈黙を続ける。
 「なーに、ここでじっとしていれば、
なんということはないのよ。
変に探し回ると危ないのよ」
ヒトミはいつきとエイタ
に探索を命じたくせにそういうことを言う。
(続く)

「ボロクソ木太郎」

2008-10-30 22:20:53 | 小説
「ボロクソ木太郎」

「あの、キタジマさん、
僕にも開錠の方法教えてくれませんか」
木太郎は何を考えたかキタジマに頼む。
 「そうじゃな。そのハナクソと
股間をかく癖をやめられたら、おおしえしよう」
と言って、キタジマはティッシュペーパーを渡す。
 木太郎は慌てて、鼻をかんだあと、
「掻くのは子供の頃からの癖で、
ハナクソの方は鼻の穴が大きいんで
すぐたまるんで、鼻をほじるんですが、
たまに忘れるんですよ。
ですから、どっちも、無理ですよ。
意地悪しないで教えてくださいよ」
キタジマに頭を下げる。
 「それじゃ、駄目じゃな。
その癖は直さないと一生もてないから、
おぬしはストーカーになるかもしれないからな。
そうしたら、この技を悪用するじゃろ」
キタジマはにやけて言う。
 「ひどいですよ。
たしかキタジマさんは
「今の自分を一切変えない」
ことが僕がもてるための
条件とおっしゃいましたよ」
木太郎は意地悪そうなキタジマに反論する。
 「ははは、おぬしもマヌケじゃの。
あのとき、おぬしは奥様とヒラメ様
の評価を上げるためには
どうしたらよいかといったではないか」
 「いや、ヒラメ他
と言ったつもりだったような...」
木太郎は急に自信をなくす。
 「じゃあ、はっきり言うぞ。
奥様は今のそのマヌケで
動物のような木太郎がお好きなのじゃ。
逆に、おぬしも今は嫌いになったことだろうが、
ヒラメ様はもともと
木太郎おぬしのことは人間とは見ていない。
だから、評価は上がりようがない。
それだけじゃ。あはは」
キタジマは大笑いする。
 そして、
 「今、木太郎、おぬしがヒーローになりたいなら、
この屋敷の謎をといて、その癖をなくして、
清潔にすることじゃぞおぬしの
その不細工な顔で、不潔じゃ、
誰も相手にしないぞ」
キタジマは痛烈なことを言う。
 「で、でも、なんか、
チウメさんもアユメさん
もいい感じなような」
木太郎がそう言いかけると
 「そうじゃな、捨て犬でもかわいい
という母性本能みたいなものじゃな。
まあ、期待しないことじゃ、
それより、早くせいな」
キタジマは決断を促す。
(続く) 








レイジー編「いつきと木太郎」

2008-10-29 20:58:10 | 小説
レイジー編「いつきと木太郎」

S「どうやら木太郎も休ませず、
いつきエイタのキモ男三人衆が揃いそうですね」
O「あの二人はやっぱり、欠かせないでしょう」
S「永久も復活しそうだね」
O「誰が本当に殺されるのか」
S「なんかワンパターンですね」
O「まあ、そろそろワンパターンは
やめて欲しいと龍之介様にメールしておきますよ」
S「えっ」
(続く)

「棺部屋へ行け」

2008-10-29 20:55:43 | 小説
「棺部屋へ行け」

 「悪いけど、もう一度、
あーたが監禁されていたところを探してくれる?」
ヒトミはいつきを指さし、命令する。
 「あ、あそこへ行くんですか?」
エイタの顔がひきつる。
 「はい、わかりました。
男いつき、一度は死んだ身ですから、
喜んで行ってみます」太い眉をへの字にして、
いつきは笑って見せた。
 「じゃあ、早く、ヒラメが可愛そうでしょ」
ヒトミは二人を追い出すように、
自ら玄関に進み、扉を開ける。
 「気をつけてくださいね」
チウメの言葉にいつきは、
気持ちの悪いことにウインクをして
「はい」
とだけ答えた。
(続く) 

「戦闘計画と永久移動の謎」

2008-10-29 20:52:27 | 小説
「戦闘計画と永久移動の謎」

 「おい、いつき」
エイタがひきつった顔で声をかける。
 「その呼び方はやめてくれと言っただろ。
相手は生米だ。左の倉庫で、
スコップ1個づつ持ってけば、楽勝だ。
俺はリーチも長いしな。言っておくけど、
手加減はしろよ」
いつきはさっきまでと変わって楽観的だ。
 いつきの楽観論と違って、
エイタには不安があった。
いつきの記憶が正しければ、
永久が2番目の棺から
あの開かずの扉の中へ移動したことになるが、
その方法が謎のままだからである。
生米生存説はよしとして、
永久が移動した理由がわからないのが、
不安がある。
でも、気力は別に腕力だけなら、
いつきはありそうなので、
いつきを盾にどうにか乗り切りたいと、
エイタは考え、奥の鉄格子に向かった。
(続く)

「木太郎、いざ、迷宮へ」

2008-10-29 20:48:00 | 小説
「木太郎、いざ、迷宮へ」

 「今度も手強いかな」
とキタジマはそういうと、
同じ道具をポケットから取り出し、
鍵穴に差し込んだところ、
「ありゃ?、これは」
と言うのと同時にカチッとした音がした。
 「これは、ちょっと教えれば、木太郎でも開くぞ」
と拍子抜けしたようにキタジマは
ドアノブを捻り、扉を手前に引いて開ける。
 扉を開けるとと同時に照明がつく。
 「キタジマさん、ちょっと前を見てください。」
木太郎は、正面の空間を指さした。
 1畳ほどの空間には、前、左、右すべてに扉がある。
開けた扉を入れると前後左右に扉があることになる。
開いた扉の裏を見ると同じようなドアノブがある。
 「いやらしい仕掛けじゃな。」
キタジマはそういうと、中に先に入る。
 「昔のゲームみたいですね。」
木太郎は回りの扉を見回すと、
鼻の穴をひくひくさせながら、
 「こういうときに、これが役にたつんですよ」
と言って、ピンクの付箋とボールペンを
ポケットから取り出した。
 「おぬし、虫眼鏡といい、
なんでそんなものを携帯しているんじゃ?」
キタジマが自分を褒めずに、
変な奴だという顔をしたので、
 「この屋敷の謎を解くために
僕たちは合宿にきたのですよ。
この程度当たり前ですよ」
と木太郎は右手で股間を掻きながら、
左手で右の扉に付箋をはる。
 「動機が不純だと思ったんじゃがな」
とキタジマは嫌みな笑いをする。
 「迷路というのはですね」
と木太郎が偉そうに解説を始めようとしたところ、
 「わしはそういう小難しいことはわからん。
おぬしに任せるから、どの扉を開けるか決めなされ、
ワシは鍵を開けるだけじゃ」
キタジマは素っ気なく言う。
 「そうか?迷路と思わせるだけかもな」
と呟きながら木太郎は変な笑顔を受けべる
と右の扉に貼り付けた付箋を正面に貼り直し、
1と数字を書いた後
 「キタジマさん、ここを開けてください」
と言う。
 「本当にここでいいんじゃな」
キタジマはそう言いながら、
先ほどの道具で簡単に開錠する。
 「すいません。やっぱり、右を開けてください。」
と木太郎はそう言うと、付箋を右の扉に貼り直した。
 「なんじゃ?簡単に開錠するところは
ハズレということか?」
キタジマは首を傾げながらも、
また、いとも簡単に開錠してしまう。
 「うーん、このシェルター
を作った奴は相当意地悪な野郎だな。
しょうがない。
キタジマさん、左の扉を開けてください」
と木太郎は鼻の穴をひくひくさせながら、
付箋をまた貼り直す。
 「もし、ここも簡単に開いたらどうするんじゃ?」
キタジマの素朴な質問に、
 「うーん、そんなはずはないんだけど」
と木太郎は考え込む。
(続く) 

「リビングにてふたたび」

2008-10-28 19:56:40 | 小説
「リビングにてふたたび」

 「あら、本当に誰もいないわね。
鍵も開け話しで。キタジマも怖くて
木太郎にそそのかされて逃げたのかしら」
ヒトミが意地悪そうに言うと、
 「お母様、でも、今門の外を見ましたら、
自動車がちゃんとありましたよ」
チウメが反論する。
 「あら、あーた、よく見てますのね」
ヒトミはそれだけ言った後、
 「何か殺人鬼がいるような感じがしないのよね。」
とあくびをする。
 「ちょっと、屋敷の中を探索してきましょうか」
タヨウが言うと
 「先生、女だけじゃ怖いからいてくださいよ」
とアユメが本音を言う。
 「それもそうですね。」
タヨウの態度が一転する。
 そのとき、玄関が突然開いたので、
みんなびっくりしたが、
現れたのは、
いつきとエイタだった。
 「あーたたち、何やってたの」
ヒトミが睨みつけると
 エイタが
 「すいません。いつきの親友の
生米って変な奴も行方不明になっているところに、
いつきの親友の永久が死んだものですから、
いつきが発狂したところをみて少しびびったのですが、
よく考えると永久があんなところで
死んでいたのも変なものですから、
正直怖くなって、いつきを追うふりして、
逃げようと思ったのです」
と言うと、
 「じゃあ、何故、逃げなかったの」
ヒトミが意地悪そうに言う。
 「自分が怖かったのは、
2番目の棺に永久がいたもの
とすっかり思っていたのに、
あんな場所に永久がいたことなんですけど、
いつきに訊いたら、2番目の棺のことは
よく覚えていないと言うんで、
怖さが半減したからなんです。
それに、いつきも親友の生米が
行方不明になる前に永久と
一緒になってとんでもない悪口を言ってしまったもので、
後悔してたらしいので、
パニックになったらしいのですが、
二人で、逃げ道を探していたら、
なんとなく冷静になって、戻ってきたんです。
それに、永久が死んだことを確認しても
いないものですから」
エイタはそれなりのでまかせを言った。
 「その生米にあーた、何言ったの」
ヒトミが意地悪く言う。
 「それは勘弁してあげてください。
本人反省してますから」
エイタがごまかし、いつきは
大きなずうたいを
への字のように曲げて、頭を下げる。
 「まあ、戻ってきたから、許してあげましょう」
ヒトミは案外簡単に許してくれた。
しかし、
 「許してあげるけど、罰として、
木太郎とキタジマを探してくれる。
消えちゃったのよ。二人とも」
ヒトミはそう甘くはなかった。
(続く) 

いつき編「秘密」

2008-10-28 19:48:07 | 小説
いつき編「秘密」

 屋敷に戻る途中、エイタが
いつきの手をつかんだ。
 「やっぱり、生米のことは
秘密にしておこう。例の死体のことも。
万一、パニックになったら、大変だし、
生米が敵なら、俺たちだけでどうにかなる」
 「そうだな、あいつは弱いしな。
刃物があっても、こっちも二人で武器
を持てばやっつけられるからな。」
いつきも同意する。
 「でもさ、なんて言うんだ。」
いつきの問いに、
 「オタクはとにかく黙ってろ。
何かしゃべらされても、都合の悪いことは
記憶喪失のフリをしろ。
あとは俺が適当に嘘をつくから黙って頷け」
エイタの言葉に
 「バカになれってことね。まあ、しょうがないか」
いつきも頷く。
 「でも、オタクが生米
を殺そうとした犯人ではないよね」
いつきが念を押す。
 「俺が犯人だったら、さっきオタクを殺したよ。」
エイタの言葉に
 「それもそうか?じゃあ、木太郎
が一番怪しいんだな。あと、野郎か」
いつきの言葉に
 「まあ、それしかないよな。
とにかく、俺たちはなるべく離れないようにしよう」
エイタの言葉に、
 「OK!」
 「オタク、明るくなったね」
エイタが言うと、
 「人殺しじゃないとわかったんでね。へへへ。」
こういう一喜一憂するところが
いつきの面白いところだ。
とエイタはそう思った。
(続く)