『優しいおとな』 桐野夏生

2013年09月18日 20時27分17秒 | 読書
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「福祉システムが破綻した日本。スラム化したかつての繁華街“シブヤ”の野宿者・イオンは、闇を根城にする若者たちと出会い、アンダーグラウンドに足を踏み入れる。NGO「ストリートチルドレンを助ける会」、女性ホームレス集団「マムズ」…彼の「優しいおとな」はどこにいるのか。桐野夏生が描く、希望なき世界のその先とは。」(BOOKデータベースより)

イオンはシブヤに暮らす少年。
以前は児童保護センターで暮らしていたのだが、その生活はひどく、脱出しホームレスになる少年たちは少なくなかった。
イオンはだれに頼るでもなく生活していたのだが、以前センターで一緒に暮らしていた「兄弟」のことを思い出すようになった。
特に鉄と銅という双子を探し始めることになる。
そこで、イオンは地下に住む人たちと出会う。
彼らは地下配管等を使い、地下空間で生活していた。
イオンは盗んだ銃を土産に地下組織の仲間入りを果たす。
しかし、そこには鉄と銅はいなかった。
精神的にも弱体化したイオンだったが、そこにイオンは「優しいおとな」をみるのだった。


あーー、紹介しにくい作品だ。
設定は福祉システムが崩壊し、あちこちでホームレスが発生した東京。
そこに住むホームレスたちやそれを支援する団体など、さまざまな登場人物が現れます。
優しかったり冷たかったり。
大人も子供も。
そこでイオンは生き、傷つき、疲れ、死に瀕しながらも懸命に生きる。
そして人の愛に気付く。みたいな。

所詮想像の世界なので設定の善しあしはおいといて、実はなかなか人情味あふれる作品だと思います。
読みにくい作品ではありますが、さりとて後悔はしていない。
むしろ少し心温まったり。
結論は気になる人は読んでください。
答えは各人の心の中に。なんて。

★★★★☆

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