『空飛ぶタイヤ』 池井戸潤

2011年10月17日 19時18分16秒 | 池井戸潤
タイムアウトで消えた―!だからかなり短めになります笑
本当のやつはもっと魂こもってました。



「走行中のトレーラーのタイヤが外れて歩行者の母子を直撃した。ホープ自動車が出した「運送会社の整備不良」の結論に納得できない運送会社社長の赤松徳郎。真相を追及する赤松の前を塞ぐ大企業の論理。家族も周囲から孤立し、会社の経営も危機的状況下、絶望しかけた赤松に記者・榎本が驚愕の事実をもたらす。」
「事故原因の核心に関わる衝撃の事実を知り、組織ぐるみのリコール隠しの疑いを抱いた赤松。だが、決定的な証拠はない―。激しさを増すホープグループの妨害。赤松は真実を証明できるのか。社員、そして家族を守るために巨大企業相手に闘う男の姿を描いた、感動の傑作エンターテインメント小説。 」(BOOKデータベースより)


運送会社である赤松運送と財閥系(とはいってなかったか?)の自動車会社であるホープ自動車との争いの物語。


記憶に残っている方も多いと思いますが、あの三菱ふそうの起こした横浜母子三人死傷事件を題材とした物語です。
内容自体はもちろんフィクションですけど、読めば絶対にこの事故のことだろうと思うはずです。

話のプロットを予想するなら、赤松とホープ自動車ひいてはホープグループと争う中で赤松が追い詰められながらも悪役であるホープに勝つというおきまりのものでしょう。
というかそうです。

だから読者としては「簡単には感動しねーぞ!?」的な挑戦的な態度で挑むわけです。少なくとも私はそうです。


作家としてはそんな読者に勝たなくちゃいけませんよね。巧妙なトリックものじゃないですし。
読者を欺くか、読者の想像を超えるものを提供するか。
それは、あなたの目で確かめてください。

この物語の中で、幾度となく発せられる言葉があります。

「どこ見て仕事してんだ!」


今どこを見てるかってわけじゃないですよ。
誰のために仕事しているのか。

大企業のおごりがあるホープグループは自分たちの利益のことしか考えていないわけですよね。
だれでもそうかもしれません。自分がかわいいです。

赤松はそれにNo!を突き付けるわけですよね。

最後には感動です。また池井戸潤にやられました。

★★★★☆

Next...「ピース」樋口有介