葬儀屋日記 byノブアキ

つれづれなる葬儀屋さんの日記です

うれし涙~父の話し~

2005年06月02日 | つれづれ日記
実は僕は、父が亡くなったとき
悲しくて泣いたのではありませんでした

ウチの父は食べることが大好きで
駅弁を20個食べたとか
ラーメンを16杯食べたとか
すし屋で、ガラスのカウンターのねたを
順番に食べて2往復半したとか
とにかく食べることが大好きでした

食い道楽がたたって
僕が小学校のころ糖尿病になって

糖尿病から、腎臓を患って
かれこれ8年ほど人工透析をしていました

人工透析をしていると
体がとてもかゆくなったり
水を一日の決められた量以上(600cc)飲むと
肺に水がたまって呼吸困難を起こしたり

とても苦しい病気なことを近くで見てきましたから
父が亡くなったのは割と突然でしたが
「お疲れ様」という気持ちで、それに対しては
いままでよくがんばってくれたなあと思っても
これ以上病気で大変な思いをするのは
とてもかわいそうだったので、とても納得していました

父がなくなって、実感がわかなかったんですかね
特に悲しくもなく、なんとなく亡くなったという事実だけが
ぽかんと心にやってきて、すぐにやってくる
葬儀のことで不安で一杯でした
(葬儀屋なのに自分の家の葬儀はやっぱり不安なものです(笑))

父は、頑固で短気でまっすぐな人でしたが
とても気のいい人だったようで、父が亡くなったという知らせを聞いて
いろんな人が弔問に訪れてくれました

「アキちゃん(ウチの父)にゃ、あんときゃ世話になった・・・」
「いいやつだった」
「アキちゃんに、あん時助けてもらった・・」

どれだけお節介を焼いてきたんでしょうね
沢山の人が、そういって涙を流してくれて

そういって、父の死をとても悼んでくれていて
これだけ沢山の人に大切にされて
これだけ沢山の人に悲しんでもらえて
これだけ沢山の人の思い出に残って

子供からしたら、跡取りからしたら
こんなに誇らしいことはなかった
こんなにうれしいことはなかった・・・

だから僕の目からたくさんの涙がこぼれました
みんなの父に対する気持ちが、有難くてうれしくて

そういうわけで、僕は父が亡くなったときに
悲しくて泣いてはいなんですよ、そのかわり
沢山の人の気持ちに触れて、心が揺さぶられたうれし涙を
沢山流しました

地元のおじさんたちから、涙を流しているのをみられて
「のぶちゃんもつらいんだよな、俺も辛いけどさ」
と声をかけてもらったけど・・・


僕はそのおじさんのその気持ちが本当にうれしくて
泣いていました

今月は父の三回忌です
なんだか思い出すと早いもんですね。
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