憎しみの連鎖を断ち切る
パリ同時多発テロに関する課題
パリ同時多発テロでは、たくさんの市民が犠牲になり、尊い命を奪われた。
テロも暗殺も決して許されるものではない。
仏オランド大統領は、フランスが「戦争状態にある」と宣言し、
米国、ロシアはシリア空爆の強化を図り、欧州連合でも力による対応を進めている。
テロに怒り、過激な世論がわき上がるのは仕方がない。
しかし、暴力による報復では、互いを憎しみ合うだけで決して解決にはならないことを歴史は教えている。武力に頼る言動ではなく、冷静な分析と対応が必要と、多くの専門家は言う。
11/20付朝日新聞社説は、
「冷静で着実な対処こそ」
というタイトルで
『テロ対策は組織網を割り出し、資金源や武器ルートを断つ警察、諜報、金融などの地道な総合力を注ぐ取り組みだ』
と力には力という軍事介入を戒め、世論の暴走を諫(いさ)めている。
更に『(テロリズムの)病根をなくすには、不平等や差別、貧困など、社会のひずみに目を向ける必要がある。軍事力で破壊思想は撲滅できない』と社説の論調は冷静だ。
言葉が違い、生まれや習慣や文化、宗教が異なれば考え方も違ってくる。
だが、こうした違いを異分子として排除しようとするところに、摩擦が起こり、血が流れる。
注目すべき考えがフェイスブックに公開され、共感の輪が広がっている。
パリ同時多発テロで妻を亡くした仏人ジャーナリスト、アントワーヌ・レリスさん(34)が、テロリストに向けて綴った文章だ。
「君たちに私の憎しみはあげない」
金曜の夜、君たちは素晴らしい人の命を奪った。私の最愛の人であり、息子の母親だった。でも君たちを憎むつもりはない。君たちが誰かも知らないし、知りたくもない。君たちは死んだ魂だ。君たちは、神の名において無差別な殺戮(さつりく)をした。もし神が自らの姿に似せて我々人間をつくったのだとしたら、妻の体に撃ち込まれた銃弾の一つ一つは神の心の傷となっているだろう。以下次回へつづく (2015.11.24記)
おぞましいテロ事件ですが、おっしやる通り憎しみを断ち切ることが平和への歩みだと思います。哀しくて辛い道のりですけど。