銃乱射事件③ 矛盾だらけの米銃規制
またしても起きてしまった銃乱射事件。
フロリダ州の高校で17人が死亡。
19歳の元生徒(退学処分)が容疑者として拘束。
使用された銃は自動小銃AR15で、容疑者は複数の弾倉を持っていた。
容疑者はガスマスクを着用。発煙筒に火をつけて火災報知機を鳴らし、
生徒が校舎外に逃げ出したところを狙い撃ちした(2/14朝日新聞)。
今年に入って18件の発砲事件だ。
米国の学校では2013年以降、
犠牲者が出なかった事件も含め290件の発砲事件が起きている(2018.2/16朝日)。
ケンタッキー州の試み
教師や学校職員が銃を校内に持ち込むことができるようにする法案が議会に提出された。
全ての銃乱射事件の元凶は、多くの人が銃を持つ(購入する)ことができる法律の存在が問題なのに、
銃の乱射による犠牲者をなくすために、あるいは生徒を銃の犠牲から守るために、
教職員に銃を持たせようとする。
原因を排除しないで生徒を護ろうとする社会通念はどこかおかしいと、私は思うのだが
アメリカ社会の中には次のような考え方も支持されているようだ。
「今さら規制を強めても手遅れだ。銃を持った犯罪者への対処は、銃を持ったものにしかできない」として、
学校の各階に武装警備員を配置するべきだ。
「手遅れだ」という考え方そのものが私には無責任な考えで、
まさに銃規制問題の行き詰まりを象徴する考え方だと思えてなりません。
なんだか、近未来小説の中の生きずらい社会が出現するようで恐ろしいと思いませんか。
でもこれは、近未来小説の話ではなく、現実に起こっている話なのです。
21歳にならないと酒が買えないのに、なぜ19歳になったら合法的に銃が買えるのか。
なかなか銃規制の法案の議論が指示されないのは、
ライフル協会から多額の献金が共和党に流れているという現実があるのでしょう。
全米ライフル協会(NRA)による献金は次のようです。(米メディアによる)
トランプ氏を支持する政治広告 ………………………………………………… 1140万㌦(約12億円)
大統領選時の民主党候補 ヒラリー・クリントン氏を批判する政治広告…………1980万㌦(約21億円)
トランプ氏陣営に ………………………………………………………………… 81万4千ドル(約8600万円)
共和党ライアン氏に…………17万2千ドル
〃 ルビオ氏に………… 17万6千ドル
〃 クルーズ氏に…………36万2千ドル
ラスベガス事件直後、バンプストック(全自動を可能にするアタッチメント)の製造・販売に避難が集中し、
民主党を中心に規制法案が議会に提出された。
しかし、NRAは法案に難色を示し、共和党は取り締まり強化が先と訴え、法案の審議は棚上げとなった。
NRAは依然として献金を続けており、ことし11月には議会の中間選挙があり、
銃規制の議論は一向に進みそうにない。
NRAからの献金が銃規制の法案の成立を阻害する要因なら、
献金のあり方にもメスを入れなければならないと思うのだが、
アメリカ社会ではそうした議論は起きないのだろうか。
さて、この問題一体どうなるのか。
次回は銃規制問題の最近の動きをお知らせします。
(2018.03.17記) (昨日の風 今日の風№91)
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銃乱射事件① 銃なしで命を守れるか 頻発する銃乱射事件(2018.01.28)
銃乱射事件② 銃なしで家族をどう守るの 「目には目歯には歯」(2018.01.30)