「ポール、ありがとう」
朝日新聞2017.4.16 ひととき欄から転載(ほぼ全文)
昨年12月に母を亡くし、心の整理がなかなかつかない中、友達が4月末のポール・マッカートニーのコンサートに誘ってくれた。
節約のため二段ベッドの相部屋形式のホテルをとったが、行く直前になって、引っ込み思案の上に介護生活で引きこもりがちな日々を送っていた自分がそんな宿に泊まれるかしらと不安になった。
でも、杞憂(きゆう)だった。朝食のとき近くのテーブルにいた同室の若い女性に話しかけると、就活中とのこと。「がんばってね」と言いながら、ポールのコンサートに行ったことを話すと「私も昨日行きました!」と言うので驚いた。中2の時に「レット・イット・ビー」を聴いてビートルズを好きになったそうだが、私もだ。30歳以上の年齢差を瞬時に越え、話は尽きない。
こんなに楽しくビートルズの話をしたことは初めてかもしれない。そして、未来に向けて羽ばたこうとしている彼女のすがすがしさは、私に未来に向かう力をくれたように思う。すてきな出会いをもたらしてくれたポールと、誘ってくれた友達に心から感謝したい。
(浜松市 秋山敦子 自営業 57歳)
「歌は世につれ、世は歌につれ」といいます。
私たちは、思い出や心の有り様を歌に託して、口ずさむことがあります。
歌はしぼんだ心を元気にしたり、懐かしい思い出を運んできてくれます。
同窓会で校歌を歌い、高校三年生を歌い、星影のワルツを肩を組んでうたう。
そこに共通の思い出や、体験があり、集まった同士が歌を媒体として結ばれていく。
歌にはそんな効果もあるようです。
特定歌手が好き、俳優が好きというのも、こうした範ちゅうに入るのでしょうね。
コンサートにいき、ペンライトを振りながら、うっとりと至福の時を過ごす。
「杉さま」というファン心理もまた理解できます。
大勢の同好の士が集まり、
共通の「あこがれの人」に向かって、心躍らせ、目を潤ませる。
なんと幸せなひとときを過ごすことができるのか。
交通費を節約し、宿代を節約し、スーパーの安売り目指してスーパー行脚までして
コンサートのために節約をする。
数時間の至福の時を手に入れるために。
以下はひさへさんのブログから拝借した、本人直筆の絵です。
ポール・マッカートニーが好きで好きでたまらないとひさへさんは、1時間以上もかけて
ビートルズ弁当なるものまで作ってくしまうほどの、永遠の27歳。
だから、やっぱり! 大好きが止まらないの!
そのユニークさがとても面白い。
これ、焼きのりをカッターナイフでくりぬいた、のり弁ですよ。
今なおビートルズは、彼女を幸せにしているのです。
(画像の掲載をこころよく承知してくれたひさへさんに感謝です)
shonanyuzurihaの「友だち」さんのブログは、何時も音楽の話。
音楽に対する造詣も深く、カラオケも大好き。
「人生は歌」というほど、毎日のブログが歌の記事で構成されている。
冒頭に紹介した記事も、ポールがいたから素敵な出会いを経験することができたと、
その時の感動を素直に綴っている。
また、コンサートに誘ってくれた友人に感謝の言葉を述べ
「ポール、ありがとう」
あなたのおかげよと、ポールへの熱い思いを綴っている。
歌っていいですね。
音楽っていいですね。
最後に、私の好きな歌をあげます。
「北帰行」
「サーカスの歌」
「昴」
私は、そうです。
さすらい人、流れ者、大河を流れる病葉、
なんていうイメージから今も脱却することができない
少年です。
(つれづれに……心もよう №60) (2017.5.17記)