今日は奈良市中央図書館にいったついでに、食事をしようとお蕎麦屋さんに入った。注文が終わってから、ふと店に置かれている産経新聞を手に取った。パラパラと見ていると最終面に、洋菓子「フーケ」自己破産申請へ、という見出しがある。えっと、驚いて記事を読むと。昭和45年創業したが阪神大震災で被害を受け、震災後は百貨店を中心に出店し、関西圏に20店舗以上に広げたが、売上げが伸びずに昨年、赤字に。で、先月末に全店舗の営業を停止した、とあった。フーケというのは私が神戸市のはずれで学生時代を過ごしたとき、あこがれのケーキ屋さんでした。クラスで美食に目がない情報通の友人が、「フーケのケーキはうまいぞ~」と普段から言っていた。あるときその男が家庭教師宅のおみやげにケーキをもらい、私がお裾分けにあずかったときに、とにかくおいしかったことを思えている。貧乏学生だから、ただただおいしいと、他を寄せ付けないおいしさ。そんな味の深さなど解るわけもなく。とにかく、今までに味わったことがない格別なおいしさがあった。だってそれまでは小学生の頃から、父が1年に2度くらい買って帰る心斎橋不二家のケーキが一番だと思っていたから。あるとき、神戸の山の手に行ったとき、フーケってどこにあるのだろうかと探したら、赤いテント張りの庇があってこぢんまりした小さなお店だったことを覚えている。いわゆる街の小さなケーキ屋さんだった。昭和50年ごろだから、そのときで創業5年くらいだったんでしょうね。貧乏学生の私は山の手北野町付近の洗練された街並みに圧倒されたため、お店に入ることもなくフーケを後にした。店の直ぐ近くで学生時代を過ごしていた妻はフーケを、店内は2坪くらいのスペース、ケーキが並んだショーケースはひとつだけで、お兄さんと呼べるようなご主人のご夫婦二人でやっていたケーキ屋さんだよ。フーケはおいしかったし、よく知っていると言う。懐かしくも古い、ほぼ40年くらい前の話だ。私も妻も神戸は好きだ。その中の一度は行きたいねといいあっていたケーキ屋さんがなくなるって、本当に寂しいことだ。やっぱり多店舗展開はダメですよ。一店でその美味しさを守って、がんばって欲しかったなあ。朝日と日経は紙面に記事はなかったぞ、と。ネットでは続々出てきた。
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