さんでんじです。

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1本260円の竹輪。

2009-08-26 17:30:13 | Weblog
自動ドアから出てきた父もエントランスの石積みに腰掛け、ポケットから袋に入った竹輪を取り出す。その竹輪だけをお座りしながら目で追う陸。父が袋から取り出し、掌に置くと、陸はあっという間にかぶりつく。「陸、よ~噛みや。えっ、も~食べたんか」

陸はふたかみくらいでペロッ。目は真剣に次の竹輪を伺っている。「さ~また、やろ」。次々と父の手に竹輪が現れて、あっという間に陸のお腹に納まる。ま、それはいいが。最初は、1本100円だった竹輪が、140円になり。今は1本260円。私たちより、ず~っといい竹輪を食べさせてもらっている。いいな~、陸。

すべての竹輪を与えて、父は、「も~竹輪はあらへんで~。さ~毛を梳いてやろ」。父は、かつて母が愛用したブラシを使って、陸のカラダをブラッシングする。最初はお座りしていた陸も、ごろんと寝そべる。父は陸の頭から、尻尾まで何度も何度もブラッシング。その間に、私と父とのよもやま話が始まるのだ。今日はお父さん、どこへ行って来たの、とか。この竹輪はどこで買ってきたとか。

父は念入りに10分くらいを掛けてブラッシングをする。「見てみい、よう抜けるな」。ブラシにまとわりついた陸の抜け毛を大きな楊枝で梳き、その毛を袋に入れていく。その間、陸はずーっと道路側を見ながら寝そべっている。通り過ぎる人が、ある人は不思議そうに、ある人は笑いかけながら、陸に視線を投げかける。その表情を見るだけで、犬が好きか嫌いか、ある程度わかるものだ。

父は犬が本当に好きだったのか。子供の頃から、我が家では犬を飼ったことがなかった。父は犬が嫌いだった、と聞いていた。母は犬を飼いたかったと何度も言っていたが。ま、そんなことはどうでもいい。今の陸を大事に、可愛がってくれるのなら。「陸、長生きするんやで~」。と呼びかけならブラシをかける父。「また明日も来るんやで~」。と父は陸の頭を撫でる。私たちは、父に御礼を言って、エントランスを後にする。明日も、明後日も。父がいつまでも元気で過ごせますように。

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