君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

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『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」十四話(Messiah/現在)

2011-11-05 02:40:15 | 『君がいる幸せ』(本編)三章「星の祈り」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
木星軌道上の衛星都市メティス 二人がいた建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」

  十四話(Messiah)現在 
  メギド内部
 エンディミオンの艦橋に着いたジョミーは交戦中のセルジュに「メギド停止・制圧」と通信を送った。
「…ふうっ…良かった」
 ジョミーは身体が軋む音を聞きながら、呟いた。
 止めようと思えば、彼らの時間も止められた。だげど、メギドの時間を止めて、僕は彼と戦いたかった…。
 彼と会うのが怖かったなんて…。
 今思うと、こうして実際会ってしまうと、怖さなんて消し飛んでしまうなんて…思いもしなかったな…。
 僕も十分…好戦的じゃないか…。
 とても、とても。
 例え、彼がクローンでも、そこに居てくれるのが嬉しかった。そして、怖かった…。

 メギドのカウントは残り6で解除した。
「ジョミー。無事で良かった」
 交戦中にも関わらず、セルジュから返事がきた。
「セルジュ…、今の状態(戦況)と戦艦ゼウスの位置を詳しく教えて欲しい」
「何をするつもりなんです?」
 と言いつつもセルジュは座標と戦況を送ってきた。
「あまり良い感じではないようですね」
「敵がコロナフィズを持っていて膠着状態になっているんです」
「やはり、そうか」
「ジョミー、それよりタイプブルーはどうしたんです?」
「それは、また後で…。今からそちら(ネメシス)に行きます。前を空けてくれますか?」
「え?」
「急ぎお願いします」
「了解しました」
 ジョミーは戦艦ネメシスの前に現れた。
 残る敵艦は残り四隻。
(思念波でいける…)
 四隻全部に思念波を送り敵の人員のすべてを催眠状態に落とし船を停止させた。
「セルジュ、これで捕らえられます」
「……」
 セルジュはネメシスの環境に宇宙(そら)から手を振るジョミーを見て、あっけにとられた。
「僕はこれからノア空域に行くので。星を、メサイアをお願いします」
「わ、わかりました」
 ジョミーはゆっくりと青い軌跡を残してメギドに戻って行った。
 彼が戻ったエンディミオンは一旦メギドを離れた。そして、メギドがワープ準備にはいり静かに消えてゆく。
 それを見ながらセルジュは戦艦ゼウスに通信を送った。
 報告を終えた後に通信を個人回線に変えた。
「ジョミーがどうも怒っているみたいなんですが…」
「…それは、当然だろうな。一方的に自分達の星を壊されそうになって、怒らない訳がない」
「でも、囮になるのに協力してくれたのではないですか?」
「理解はしてても…。囮役は終わったから敵の顔を見たくなったんじゃないか?」
「…見るだけじゃ、済まないのでは?」
「一人でマザーに会うなんて圧倒的に不利な事をしてきたヤツが、ここで言う事を聞くとは思えないだろう?」
 まるで、こうなる事は計算済みのようなキースだった。

 その少し前 メギドのワープ中
 エンディミオンがメギドの後を追うようにワープに入った。
「戦艦を動かせる?でもまだ動力ないんじゃ?」とブルーが聞いてきた。
「さっきセルジュが座標と一緒に誘導システムと補助システムを送ってくれたからね。近距離を一度飛ばすくらいは出来るよ。それより、出るまで時間があるから、君達の事を教えて欲しいんだけど」
「僕達から得られる情報なんて無いよ」
 と二人は答えた。
「君たちはこれは動かせないんだよね?」
「僕たちは小型艇も操縦出来ない…でも飛べる」
「ん、まぁ、それは多分出来ると思ったよ。それで、計画はどうなっていたんだ?」
「俺達がここでミュウと戦って軍を引き付けてる間にノアを制圧してしまおうって計画だったんだ」
「それで?」
「まさか、主力はノアに行ってて、ミュウは一人だったなんて、しかもこんなに早く僕達がやられるとは思ってなかった…」
「早くって、メギドはあんなにも早く起動してたじゃないか?」
「僕達でミュウを抑えている間にって…話だったけど…」
「それは、ミュウ諸共、僕もお前達もって死んでもらおうって事じゃないのかな…」
「僕達も?」
 と十四歳のジョミーが声を上げた。
「メギドの出現位置がメサイアに近すぎるんだ。あれではメサイアに業火が直撃した場合、星の爆発から逃げる時間がない。しかも、お前達二人では船を飛ばせられないなら…仲間の船はメギドのずっと後ろに出てただろう?メギドが放たれたのを見たら即座に逃げてたんじゃないかな?」
「迎えが来る筈だった…」
「…そうか…わかった」
「俺達が捨て駒なのは知っている…」
 はき捨てるようにブルーが言った。
「いざとなったらメギドごとワープでも何でもしてやるつもりだった」
「座標計算も出来ないのに…?無茶なことを…。でも、ブルーならそれくらいやってのけるかもね」
 ジョミーは苦笑いをした。
「……」
 その言葉にジョミーを睨み返すブルー。
 そんな彼をジョミーは目の端で見ただけで無視した。
「さあ、そろそろ出るよ。今から僕も無茶をする気なんだけど、出来ればそれを君達に手伝って欲しい。それで、殺さなかった借りは無しって事でいいかな?手伝ってくれるよね?」
 と二人を見てジョミーはにっこりと笑った。
 この有無を言わさぬこの笑顔が一番怖いんじゃないかと思う二人だった。
「ああ、そうだ。君たちの呼び名だけど今まで何って呼ばれていたの?」
「……」
 ややあってぼそりと「2829と1563」とブルーが答えた。
「僕たちはブルー、ジョミーって言い合ってたけど…」と十四歳のジョミーが言った。
「…そっか…。新しい名前をつけるまでは、ソルジャーズのブルーとジョミーでいいね」
 とジョミーは、彼らを見ながら諭すように言った。
 ノア空域に着いたメギドとジョミーそして14歳のブルーとジョミー。
 メギドとのドッキングをするエンディミオン

 戦艦ゼウス
 メギド出現の報が入った。
「さて、どう切り出すか。ジョミー」

 ノア首都上空で睨み合いをしている敵と人類の主力艦隊。
 敵の主要艦隊三十隻あまりと、近隣の星や衛星に居るのが同じく三十隻あまり。
 こちらは国家連邦政府の艦隊百隻以上。
 真ん中の旗艦ゼウス、その後ろに十字架のメギドが出現した。
 見るからに戦力的にはこちらが有利だが…。
「戦況は膠着状態のまま?」
 キースに通信を送るジョミー。
「今はノアへの道を開けろ。と言われているこちらは協議中だと返答している」
「要求を飲まないとフィズを使うって?」
「あぁ、ノアに落とすと言っている。それをされたらどれほどの被害が出るのか計算出来ない。コロナフィズはやっかいない兵器だから手の出しようがなくてな」
 とキースは苦渋の色を隠さなかった。
 その会話を聞いていたブルーが言った。
「メギドで撃ってしまえば?」
「コレを持って来たのは、僕達が生きていると見せる為だ。ミュウがコレを使う訳にはいかない」
 メギドは本来の目的通りでいうなら惑星改造用だから連射も出来ないし防御機能もない。艦隊に向けて撃ってもせいぜい何隻かが落とせるくらいであまり効果はない。
 だが長年破壊兵器と言われた名は脅しにはなる。
 ブルーの言う「一度脅してみる」という手も使えなくはないが…。
 ミュウという立場的には、実際には使えない。
 脅しが脅しだと見被られてしまったらもう意味はないのだ。
「回答する期限は残り三時間か…」
 眼下のノアでは避難が始まっているようだが何千万の人口の首都だ。
 そう簡単にはいかないだろう…。
 時間をかけて用意してきたメサイアでも十五時間かかったのだから…。
 ノアの状況(いま)を考えると胸が痛んだ。
 三時間ではとても無理だとジョミーは思った。



  続く






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