君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

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『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」十二話(Messiah/現在)

2011-10-31 02:30:15 | 『君がいる幸せ』(本編)三章「星の祈り」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
木星軌道上の衛星都市メティスのビルレスト 二人が住む建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市

   『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」

  十ニ話(Messiah)現在 開戦
 惑星メサイア上空
 人類の戦艦が集結しつつあった。
 旗艦ネメシスのセルジュはメギドの出現座標を見ながらつぶやいた。
「…少しメサイアに近いな。地表の平射板だけで内部への攻撃を止められるものではないだろう…」
 少しずらすか…。ワープ中のメギドとそれを操る戦艦に外部から操作を試みた。
「誤差修正の範囲内でしかずらせないが…10キロか20キロは後退させられる。そんな程度でもないよりはまし」
 そして、彼は眼下の星の無事を願った。

 同じ頃、惑星ノア上空
 終結する艦隊 旗艦ゼウスのキース

 再び メサイア上空
 ネメシスの艦橋に「巡洋艦2、駆逐艦3」の声が響いた。
 メギドより早く現れてきた敵の戦艦と開戦するネメシス。
「メギド出ます」
 そして現れるメギド
 メサイアの衛星ステーションで上空を見ていたジョミーが跳ぶ。
 不気味な十字架の形をした最終兵器を間近に見る。
「これが…」
 その中心部に戦艦エンディミオンが納まってゆくのが見えた。
 何もかもが「ナスカ」の再来だった。
 違うのは、星を守ろうとしているタイプブルーが僕だけという事と、敵に二人のタイプブルーがいる事。
 ネメシスの艦隊と敵が交戦する中をジョミーはメギドに向かった。

 メギドに着くとすぐに声(テレパシー)が送られてきた。
「さすがですね。予測されてましたか?まぁ、あなたが来る事はこちらも予測範囲内ですが、でも、お一人なんですね。まぁ、それもいいでしょう。では、指示に従って上に来て下さい」
 指示通りに進むと大きな倉庫のような空間に出た。
 こんな所はメギドにはなかった。
「ここはスタジアムです」
 さっきの声と違う声がした。
「スタジアム?君達の事は知らないが、僕は競技するような技など持ち合わせていないよ」
「そうですね。戦う力ならあると言う事でしょうか?」
 反響するように聞こえる声。
 機械的に変換されているが、声の主は誰か、ジョミーにはわかっていた。
「いいや違う。僕は君達と戦おうとは思っていない。交渉をしないか?」
「交渉?取引でもしようというのか?」
「ああ、そうだ」
「この場は圧倒的に我々の方が勝っているのに、何で取引できると思っているのですか?」
「そうだな。君達の命かな?」
「!? 僕達の命?」
「何をバカな」
「君たちを助けてあげるから、やめないか?と言う事だよ」
「なんで、そんな事を。僕らがお前に負けるというのか?」
「そう」
「お前の仲間の…惑星メサイアの全員が僕らの手の内にあって。お前は何も出来なくて、僕らに殺されるだけなのに?笑わせてくれるな。僕らの命?おまえに何が出来る?」
「手の内にある?何がだい?脅しにもなっていないね。最初からこのメギドを使って、メサイアのミュウ全員を殺すつもりでここに来たのだろう?」
「なら、お前も、取引などする必要はないじゃないか?」
「ミュウの命を掛けて、戦えばいい」
「だから、助けるのは君達の命だと言っている。知らないのか?僕達は逃げるのは慣れているんだ」
 とジョミーが言うと同時に、眼下のメサイアから無数のシャトルが一斉に発進していった。
 軌道上の衛星ステーションからも船が出てゆく。
 ジョミーはどこかでモニターを見ているであろう相手に言う。
「これでどう?こんな馬鹿げた脅しには乗らない。僕の仲間をなめてもらっては困る」
「こんな短時間で逃げれる訳がない。はったりだ」
「なら、メギドを撃ってみればいい」
「言われなくても、とっくにメギドはカウントダウンをはじめている」
「そうか。ならば」
 青く光りはじめるジョミー。
「行かせてもらうまで」
 ブリッジに向かって走り出した。
 ジョミーの脳裏にカウントダウンの数値が送られてくる。
 70、69、68、67、、、
「リミッター解除かな…」言うとグンと青い光が強くなる。
 そして跳ぼうとした時。
「行かせない!」
 目の前に現れたのは金髪の少年 14歳の僕だ。
「……」
 そう、さっきまでの声は彼じゃない、もう一人の方。
 自分ならば手加減する事もないと睨みつける。
「時間がないんだ。やらせてもらうよ」
 右手に光の玉が現れる。
 勢いをつけて少年に飛ばすと彼も同じように光を作り応戦してきた。
 立て続けに攻撃しその手を緩めないジョミー。
 やがて対応に追いつかなくなって少年は弾き飛ばされた。
 ジョミーは、そのまま彼を追った。
「シールドを張れ。でなきゃ死ぬぞ」
 と言うと、再び光の玉を作り彼にぶつけた。
 壁際で白煙が上がっていた。
 それが止むと…少年の左肩には青い細い剣が刺さり、その首に剣を向けるジョミーがいた。
「動かないで…。ソレを抜こうとしたり、力を使うとその剣は爆発するよ」
 と剣を向けたまま、彼の側にしゃがみ話しかける。
「君は…僕のクローン…だよね?」
 苦痛に耐えながら少年はうなずいた。
「浅はかな事を…。…十四歳の君に僕がやられるはずがない…」
 ジョミーが少年に刺さった剣に触ると、腕の痛みが和らいだ。
「…なにを…」
「後で動かなくなるような刺し方はしていない筈だから、安心していいよ」
「……」
「では、このまま待ってて」
 そう言って出ていくジョミーを見ながら少年は、さっきの「浅はか」が、僕に言ったのか、或いは僕を作った人間に言っているのか、どっちなのかを考えていた。

 走りながら「ミュウにはミュウを。か…」とジョミーはごちる。
 マザー信奉者にも、権力を狙う者にとっても僕らは邪魔だと言う事だ。
 スタジアムを抜けて艦橋に向かう僕の前にさっきの声が届いた。
「十四歳でもお前が、十四の時よりは戦えただろう?」
「そうだね。少なくとも殺すと言う気ではあったみたいだね」
「今度こそ僕が殺す」
 相手の声のトーンが下がった。

「いいだろう。戦おう。ソルジャー・ブルー」

 ブルーが待っていた所はメギドの動力部近く…そこはかつてブルーがキースと対峙した場所だった。
「ここを用意したのか?趣味がとても悪いな」
「良い趣向だと思うけど、お気に召さなかったかな?」
「無神経なヤツだ。ここで戦うのはマズイんじゃないのか?」
 とジョミーは聞いた。
「別に」ブルーが答える。
「そうか…ならば、遠慮なく」
 再び、輝き始めるジョミー。

(ブルーが相手だと…、手を抜いていられないな)
 胸の中を緊張感がはしる。
 それとどこか自分の中から、高揚感もやってくるのが感じられた。
 心置きなく力を使っても大丈夫な相手が目の前にいる。
 しかもそれは彼だ。
 今の僕なら彼と戦っても…。見劣りはしないだろう。
 今度は光る玉ではなく青い剣を作るジョミー。
「近接?でもないか…」とブルーが言った。
 お互いがお互いの間合いを計っている。
 だが、僕には時間がない。
 早くブリッジに行ってメギドを止めないといけない。
 そうは思っても心が高まってゆく…。
 思わず本音が出る。
「戦いたかった」
 ジョミーが言った。
「僕も待っていた」
 ブルーが言った。



   続く





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