君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
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オンラインな彼女と僕 2

2012-07-15 12:46:17 | オンラインな彼女と僕 (真城灯火)


 「オンラインな彼女とPC」
                     -2-



 僕もFFやDQは好きだったしオンラインゲームにも興味はあった。

 だけど、パソは買ったけど、僕は躊躇していた。


「メールや電話よりも、ずっと長く話せるし、一緒に遊べるよ」
 との彼女の言葉にPSPやDSでネット通信するような気軽さで、僕は…。




「オンラインゲーム」(MMORPG)を開始したのだった。



 始めてすぐに、僕はまさみに知らないプレイヤーを紹介された。
 どうもその人のコミュニティに入らなければいけないらしかった。

 そのゲームのシステムは、他の友人がやっているのと違って「初心者」に優しくなかったのだ。
 初心者専用の街や狩場が無くのに、ダンジョンに行くのも誰かの手助けが必要だった。



「これじゃ、一人では遊べない」

 と僕は面倒な世界だな。と思った。


 ま、ゲームへの文句はこの辺にしよう。


 世界観は嫌いじゃなかったし、初心者の扱い以外では別に問題は無かった。
 コミュに関しても、入っていてもソロで遊んでいる人はいた。
 大人が多いせいか、変な行動をするPCや、そういう発言を垂れ流すのもいなかった。


 僕としては、まさみと遊べればいいのだから、初心者の事なんて気にならない。


 なぜって?彼女のキャラはそのコミュでレベルを上げてもらっていたので、初心者の僕を連れて行けるくらいにはなっていたから、とりあえずは、それで十分だった。

 

 だけど、僕はこれから…

 自分の理性では処理しきれないような、不可解で不気味な、得体の知れない妖怪の住む、オンラインの世界を体験する事になる。



 そして、それはここにログインした時にもう始まっていたのだった。



 それからすぐに僕は別キャラを作る事になった。
 一つのキャラの持てるアイテムに限度があり、アイテム用に倉庫キャラが必要になったのも理由だけれど、僕はまさみに最初に紹介されたコミュに加わらなかったのだ、その理由が、、。

「友人はもう他のコミュに入る事になっていて、そこにまさみのキャラも移動する」
 と彼女は僕の事をそう紹介したのだ。


 要はこうだ。


 まさみが僕に紹介したコミュのリーダーは、彼女をここに誘った先輩のPCだった。
 彼女が言うには、仕事は終わった時間なのに、ここでも先輩風を吹かせているので、まさみは面白くなかったのだ。
 そこで、僕にキャラを作らせて嘘のコミュを作り、そこに移動して先輩の所を辞めようとしているのだった。
 
 仕方なく僕は適当にコミュを立ち上げ、倉庫をリーダーにして僕のメインを入れ。
 まさみも、彼女のメインと倉庫をそこに入れた。



 それから数日、何故かまさみはインして来なかった。


 その数日間、それまで気にならなかったまさみの先輩のコミュのメンバーが僕の前をちょろちょろするようになった。



 ここで、キャラの性別とリアルの性別が問題になってくる。
 
 僕はそういうMMOの世界は、女キャラは中身は男で。
 男キャラも男と聞いていた。
 つまり、ほとんど男ばかりの世界なのだと。


 実際には、彼女と彼女の先輩のように、女キャラでリアルも女性がいるようだけど、ここでは少ないみたいだった。



 まさみの先輩が、そのコミュで僕の事をどう言っているかは知らないが、ちょろちょろされるのは気持ちが悪かった。


 でも、ここも他のMMOのようにPKは許されていない。
 許されてはいないが出来ないようにはなっていない。
 その気になれば、捨てキャラを作ればいいのだから…。


 まぁ、PKよりも怖いのは、ここの交流ページで僕がまさみを引き抜いたと変な噂が立つ事だ。

 そんな事をされたらここでゆっくり遊べなくなる。



「こんな所で、何も言ってこないPCを見てビクビクしてるのは馬鹿らしい」


 僕はパソの画面をつけっ放しにして、目立つ所に座って、キャラ達が出入りするのを眺めていた。


 すると、

「お久しぶり」

 と、声を掛けて来るのがいた。

 彼女はまさみの友人(ここでのフレンド)の友人だった。
 まさみのフレに、僕のレベル上げを手伝ってもらった時にその人が呼んだPCだった。


 彼女は気さくな感じでチャットをするのが好きな人だった。


「あの時はありがとうございました」
 と、僕が返事をして会話が始まった。


 彼女は僕の名前を見て、平成ライダーを見るべきだと勧めてきた。

 「今度会う時までに見ておくのだよ」

 僕と彼女、西園寺さんとフレンドになった。

 いつ会えるかわからないここで。
 かなり強引な約束をされてしまったが、ここの中でリアルな話をするのが新鮮に感じられて楽しかった。



 そう、僕はここに、まさみと会話する為に来たのに…。

 ここに来ると、僕らはゲームの事しか会話をしていなかった。



 それから数日して、週末にまさみがインして来た。

「このキャラ、気に入らないから倉庫にするか、削除するわ」
 と、言った。

「何故?もったいないじゃん」

「別にキャラ作ったから、実はね。ここ何日かそれで入っていたの。それでね。良いコミュがあったから、そこに入ったの。今から変わるわね」
 と、彼女は言って消えていった。
 

「はぁー?なんだって?」

 育てたキャラを捨てる?


 その理由はきっと、前のコミュの先輩の所為だろう…。
 まさみは実生活でちゃんとその先輩と会話が出来ているのだろうか?
 と、僕は心配になった。



 それよりも、別ので入ってたって?

 どうしてそれを僕にメールして来ないんだ?



 やがて、現れたまさみの何人目かのPC、つぼみ。

 この つぼみちゃん が災いの種になってゆくのだけれど、それは。



 もともとあった火種に彼女が火を点けてしまっただけなのかもしれない。





              つづく








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