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民主主義と国体護持の攻防 NHKスペシャル 日本国憲法の誕生 その2(K)

2013-08-21 | 憲法問題
国体護持の政府案にGHQは不信感 民間の憲法草案も参考にして草案作りに

2月1日 毎日新聞に衝撃的ニュース。政府の憲法調査会は天皇の統治権はそのまま認める、というもの。


GHQ は天皇の行為が制限されていない、きわめて保守的であるとして、自らが草案を作らなければならないと民政局のスタッフ25名を緊急に招集。マッカッサー元帥は歴史的任務をコートニー・ホイットニーを局長とする民政局に与えた。しかも、極東委員会が動き出すまでの1週間で草案を作成する、という指示。
マッカッサーはいわゆるマッカッサーノートで新憲法の基本原則は、「天皇」と「戦争の放棄」とする。天皇については最上位(Emperor is at the head of the state)と明記。戦争の放棄は自衛権も否定。
条文の作成はラウエル陸軍中佐、ケーディス陸軍大佐、ハッシー海軍中佐による運営委員会があたる。ケーディス大佐は
「マッカッサーノートの条文は日本が攻撃された時に防衛する権利さえも奪っているように思える。どんな国でさえ自衛の権利は本来的にもっていて当然です。自国が攻撃されたら自分で守るという権利を否定するのは非現実的だと思ったのです。」
その一方でケーディスは「武力による威嚇又は攻撃」という一文を加え、侵略戦争の否定を明確にした。そして次のようになった。

「国権の発動たる戦争は廃止する。いかなる国であれ他の国との間の紛争解決の手段としては、武力による威嚇又は武力の行使は、永久に放棄する。」

国の最上位という言葉も「政治的権限を持たせない」という意味で「象徴」という言葉に変えた。


 民間の「憲法研究会」草案についても、ラウエルは次のように証言している。
 憲法研究会の草案に関する私のリポートをケーディスと議論し、ホイットニー准将に提出する前に彼の承認を受けたはずです。私たちは確かにそれを使いました。私は使いました。意識的あるいは無意識的に影響を受けたことは確かです。

ベアテ・ゴードンが書いた条文

2月12日 11章92条からなる草案が完成した。

国体護持の政府案 
GHQ:GHQの草案を日本政府が拒否すれば、日本国民に公表し国民投票にかける


2月8日 政府の松本委員会は「憲法改正要綱」をGHQに提出。
2月13日 GHQと日本政府との会談
松本国務相と吉田外相は自分たちが出した草案の回答が聞けるものと思っていた。
しかし、GHQの民生局長のホイットニーは「あなた方の憲法草案は自由と民主主義の文書として受け入れることは全く不可能です。」とGHQ草案を受け入れるように求め、受け入れないならば「マッカッサー元帥は天皇制に対する連合国の批判に耐えきれなくなるかもしれない。しかし、我々の草案の基本原則を受け入れれば天皇は安泰になるであろう。・・・逆にあなた方日本政府が拒否すればこの草案を日本国民に公表し国民投票にかけることを決断しました」と。
2月22日 幣原首相は天皇制を守るためにGHQ草案を受け入れることを決断。2週間で草案をまとめることを指示。

政府とGHQ 不眠不休の30時間の攻防
3月4日10時 佐藤はGHQに行った。日本文のまま民政局に渡した。
ケーディスらが一文一文翻訳を始めた。天皇に関する条文が微妙に変えられていたなど、激しい議論になる。
結局、天皇の国事行為に関しては内閣の「助言と承認」という言葉になる。

3月5日午前2時 女性の人権について
日本 条文の削除を提案。日本の国民に、歴史に、文化に合わないと。
GHQ 優秀な通訳として日本側が好感を持っていると見たケーディスは「女性の権利についてはベアテさんも心から望んでいる。長く日本に住んでいたので日本の女性のことを考えていたから採用したらどうか」と提案。そうしたら佐藤さんとみんなはびっくりした。そしてパスした。
 30時間の不眠不休の議論の末、ようやくすべての条文が完成した。

3月6日 政府は緊急の記者会見で憲法改正草案を発表。「世界に戦争放棄の宣言を憲法中に明記し世界唯一の新憲法を起草せんと命じているものなり」。マッカッサーは全面的支持を表明。

 執拗に国体護持を潜り込ませようとする日本政府。GHQがそれでも確信をもって民主化を貫けたのは「日本政府が拒否すればこの草案を日本国民に公表し国民投票にかける」と言える民間世論や、「ベアテさんも心から望んでいる。長く日本に住んでいたので日本の女性のことを考えていたから」という事実が存在していたからではないだろうか。GHQ草案は民間の憲法草案・民意が反映されていたからこそ、貫けたのではないだろうか。

つづく

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