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OECDから見る劣悪な日本の労働条件 社会保障の充実は支え手の雇用と所得の確保から(K)

2012-04-02 | 税と社会保障の一体改革
 4月4日付読売新聞は、「社会保障 高い関心 若者の声も聞いて」という特集を掲載した。その紙面で、社会学者古市憲寿さん(27歳)は次のように述べている。
 「今の若者はかわいそうだと言われているが、内閣府の調査では、20歳代の7割が今の生活の満足だと答えている。持ち家率が高く、裕福な世代を親に持ち、自分は非正規雇用でも生活に困らないことが多い。ところが、同じ調査で20歳代の6割以上が不安や悩みを抱いている。幸せだけれども不安。」と書いていた。しかし、不安を抱いていて幸せはない。当面の生活に困らないが、不安というのが現実ではないだろうか。

 ところで、今の生活も満足できるのだろうか。

「有給休暇日数の首位は仏など、取得最少は日本 国別調査」CNN.co.jp 3月17日(土)配信
 オンライン旅行サイト大手のエクスペディアは17日までに、世界20カ国を対象にした年間に取得する有給休暇日数の調査を行い、フランス、スペイン、デンマーク、ブラジルの4カ国が30日間で首位だったと報告した。これら4カ国では休暇日数を全て使い切ってもいた。調査は20カ国の会社従業員ら7083人が対象。
(略)
 消化した休暇日数が最少だったのは日本で、11日間のうち5日間だけ休んでいた。韓国は10日間のうち7日を利用していた。
米国は14日間で、12日間を取得していた。20カ国の平均数字は、24日間で利用日数は20日間だった。

異常な日本の賃金の推移
 OECDの統計によると、1時間当たりの労働単価の推移(1998年~2008年)はOECD加盟国中最低であり、労働生産性が上がっているのに、賃金単価が下がっているのは日本だけである。

(図をクリックすると拡大します)

労働時間の最も長い国
 OECDの統計によると、調査した29ヵ国中、1日の有給・無休の労働時間が540分で最も長いメキシコの594分に次ぐワースト2である。(有給の労働時間は376分で最も長い。)因みに最も短いのはベルギー、デンマーク、ドイツで427、441、445分となっている。

(図をクリックすると拡大します)
出典はこちら

パートタイム労働者の多い日本
 OECD東京センターの「日本と他のOECD諸国との比較」のページでは「パートタイム労働者(全労働者に占める割合):日本は18.86%でOECD平均15.40%を上回っている。」との記述がある。特に日本の場合は、パートタイム労働者の雇用が不安定で賃金単価も安く、問題が多い。

 OECD諸国の中でも劣悪な労働条件の下にある日本の労働者は、自分のための年金や医療の負担を支払うことすらできない。高齢化率が高くなる将来、果たしてこのような労働者が高齢者を支えることができるのだろうか。
 社会保障を支えられるようにするためには、まず第一に支え手の雇用と所得が十分に確保されなくてはならないと思う。(K)

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